【監修】鳥取大学医学部認知症予防学講座(寄附講座)浦上克哉教授
鳥取県では、認知症になっても安心して住み慣れた地域で暮らせる仕組みを整えておくことに加え、認知症になる人をできるだけ少なくするための取り組みを行っています。
しかし、コロナ禍は生命や健康、経済などに打撃を与えただけではなく、実は認知症予防の面でも大きな逆風を吹かせています。ここでは、コロナ禍が認知症予防に与えた悪影響と、今後どう対策すればいいのか解説します。
コロナ禍が認知症予防に与えた悪影響とは
新型コロナウイルス感染症が流行し、私たちは「不要不急の外出はしない」「密にならない」といった生活を強いられることになりました。これは感染症対策のためには必要なことですが、認知症予防の面から言うと良くない生活です。
というのも、認知症予防では「積極的に外出すること」「他者とコミュニケーションを取ること」がとても大切だからです。また、家に閉じこもった生活で気分が落ち込むことも、認知症になりやすくする要因です。
※認知症になりやすい要因については、こちらの記事(「認知症になりやすい要因」を知って、認知症を予防しましょう!)で詳しく解説しています。
コロナ禍以前から、日本では「2025年には高齢者の5人に1人は認知症になる」と推定されていました。ここ数年のコロナ禍の影響で、このままでは認知症になる人の数がもっと増えてしまうのではないかと懸念しています。
コロナ禍でもできる認知症予防
近頃、全国的にコロナの流行がおさまってきており、これからはコロナ以前の生活へと戻っていくことが期待されます。しかし、また感染症の流行が起きる可能性はありますし、ここ数年で慣れてしまったコロナ禍での生活を急に変えるのは難しい人もいるかもしれません。
日本認知症予防学会ではコロナ禍の悪影響を懸念して、ウィズコロナ時代ではせめて以下の3点を心がけて生活するよう、国民に向けて提言を出しました。
(1)1日30分以上の身体を動かす運動や体操をしましょう
(2)自分の好きな、楽しいことを日課にしましょう
(3)家族や友人との会話を楽しみましょう
|
認知症予防の基本は、運動と知的活動(頭を使って指先を動かす活動)をバランスよく組み合わせることです。
運動としては、1日30分以上身体を動かしてください。室内でできる運動もありますが、できるだけ外に出て、散歩などをすることをおすすめします。鳥取県ではそんなに密になる場所はありませんから、心配し過ぎず、積極的に外出してください。
知的活動としては、自分の好きな、楽しいことを日課にしてください。できれば頭を使って指先を動かすような絵画や手芸、料理、パズルなどがおすすめです。歌や読書もいいですね。義務感でやるのではなく、あなたがやりたいと思うものに取り組んでください。
また、家族や友人との会話を楽しみ、コミュニケーションを取るのも頭をよく使う活動の一つです。対面でもマスクを付けて距離を保てばお喋りしても問題ありませんし、電話やインターネット(ビデオ通話)でも構いません。
今後コロナがどうなるかは分かりませんが、いずれにしても一人で鬱々と家に閉じこもるような生活は認知機能を低下させてしまいますので、30分の運動、楽しい日課、お喋りの3つの点を心がけて生活するようにしてください。
あなたの認知症リスクをチェックしてみませんか?
鳥取県では2022年9月から認知症予防を意識した健康づくりの参考にしてもらうことを目的に公式LINEを始めました。
こちらでは定期的に認知症予防に関する情報提供を行うとともに、認知症リスクを簡易的にチェックする機能もあります。
ぜひ友だち登録してくださいね!
★公式LINEはこちらからアクセスできます↓
QRコード
URL https://line.me/ti/p/%40833clxbt
<参考文献>
浦上克哉:科学的に正しい認知症予防講義. 翔泳社, 2021