【監修】鳥取大学医学部認知症予防学講座(寄附講座)浦上克哉教授
これまでやったことがないことにチャレンジすると、認知機能を維持・向上し、認知症を遠ざけます。初めてでも怖がらずに前向きに挑戦する気持ちが、認知症予防につながります(詳しくはこちらの記事を参照)。
認知症予防として新しくどんなことにチャレンジしたらいいのか、鳥取大学の浦上先生に伺いました。何をすればいいのか迷う方はぜひ参考にしてください。
行ったことのない土地へ旅行しよう
これまで行ったことがない土地、見たことがない景色、初めて食べるもの、旅先で知り合った人々とのふれあい――旅行は脳とからだをとてもよく使うため、とても良い認知症予防になります。
できれば、ご自身で旅行のプランを立てていただくとより良いです。どこに行こうかな、何を見ようかな…などと考えているときはウキウキしますよね。これが脳にとても良い影響を及ぼします。
コロナなどの感染症を気にし過ぎて、遠出することに対して前向きになれない、もしくは周囲の人から心配して止められているような状況ですと、脳に新しい刺激が入ってきづらくなり、認知症予防としてはマイナスです。
感染予防をしながら、なるべく外出をして脳を活性化することが大切です。近場の日帰り旅行でも構いません。ぜひ行ったことのない土地へ行ってみてくださいね。
外国語を学ぶと、脳を使う場所を広げることができる
海外旅行はもちろん、国内旅行でも海外の方とふれあう機会が増えています。スマホの翻訳機能などを使ってコミュニケーションをとることもできますが、できれば少しだけでも会話ができたらいいですよね。
私たちが言語を操るときには、脳の言語中枢が働きます。日本語を司る言語中枢と、英語などの外国語で使う言語中枢は少し場所が異なります。つまり、外国語を学ぶことで言語中枢を広げ、使っていなかった脳を刺激することができます。
作ったことのない料理にチャレンジしてみませんか
旅行が良いといっても、いつでも行けるわけではないかもしれません。行ってみたい地域の料理にチャレンジしてみるのも面白いのではないでしょうか。料理は準備をしたり、手順通りに作業を進めたり、手先を使ったりするので、脳をよく使います。
認知症予防の観点からは「地中海食」がオススメです。地中海食とはイタリアやスペインなど地中海沿岸の国の伝統的な料理で、果物や野菜、魚、オリーブオイルやナッツなどが豊富で健康的な食事です。あまり馴染みがないかもしれませんが、本やネットなどで調べて作ってみてくださいね。美味しいですよ!
楽器演奏や絵画が認知症予防にオススメです
認知症予防の観点から、何か新しい習い事や趣味をするなら、楽器演奏や絵画がオススメです。
楽器演奏では、楽譜を見て、頭の中で弾く順番や位置を決め、音楽を耳で聞き、タイミングよく指先を動かす…というように、実にさまざまな脳の機能をフル回転させます。最初はうまく弾けなくて当然ですが、練習をするだけで脳をよく使うことができますよ。
絵画では、描きたい対象をしっかりと見て、頭の中でどのように表現するかを考えて、細かく指先を動かして描いていきますから、やはり脳をよく使います。これまでにあまり絵を描いたことのない人は塗り絵から始めてみましょう。
お互いに誘い合って初めてみましょう
新しいことを始めるのは、誰しもおっくうに感じるものです。けれど、周囲の人から誘われたり、手軽にできるところから始めたりできれば、取り組みやすくなります。周囲の人の手伝いや支援があると始めやすいですよね。
もし、一人でチャレンジしにくければ、お友達を誘って一緒にトライしてみましょう。これはお互いの脳にとって良いことです。みんなで楽しく認知症予防をしていきましょう!