(1) 地球温暖化は、地球全体の環境に深刻な影響を及ぼすものであり、大気中の温室効果ガスの濃度を適切な水準に安定させ、地球温暖化を防止することが人類共通の課題であり、この課題に本県としても積極的に取り組むことが必要である。
(2) (1)を踏まえ、本県における地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、地球温暖化対策に関する県、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定める。
(1) 目的(第1条)
この条例は、鳥取県環境の保全及び創造に関する基本条例の基本理念にのっとり、地球温暖化対策に関し、県、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、市町村との連携及び協力を図りつつ、社会経済活動その他の活動による温室効果ガスの排出の抑制等を促進するための措置を講ずることにより、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図り、現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに県民の福祉に貢献することを目的とする。
(2) 県の責務(第3条)
ア 県は、事業者及び県民が温室効果ガスの排出の抑制等に関して行う自主的な活動を促進するため、教育・学習活動の支援、広報啓発その他必要な措置を講ずるとともに、事業者及び県民に対し温室効果ガスの排出の抑制等に関する指導を行うなど、本県の自然的社会的条件に応じた温室効果ガスの排出の抑制等のための施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。
イ 県は、自らの事務及び事業における温室効果ガスの排出の抑制等のため、率先して(3)イに掲げる事項の実施その他必要な措置を講ずるものとする。
(3) 事業者及び県民の責務(第4条)
ア 事業者及び県民は、事業活動等が地球温暖化に影響を及ぼしていることを認識し、その在り方を見直し、事業活動等における温室効果ガスの排出の抑制等のための取組を自主的に行うよう努めるとともに、県が実施する温室効果ガスの排出の抑制等のための施策に協力するものとする。
イ 事業者及び県民は、温室効果ガスの排出の抑制等のため、その事業活動等において、次に掲げる事項を実践するよう努めるものとする。
(ア) 廃棄物の発生を抑制するとともに、その再使用、再生利用その他廃棄物を削減するために必要な対策を推進すること。
(イ) 太陽光その他の再生可能エネルギーを積極的に利用すること。
(ウ) 森林の適切な管理、保全及び整備並びに県産材その他の森林資源の利用の推進を図ること。
(エ) 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける際には、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律に規定する環境物品等を利用すること。
(4) 対策計画の策定等(第5条)
ア 知事は、本県の自然的社会的条件に応じた地球温暖化対策の推進に関する対策計画を策定するものとする。
イ 対策計画には、地球温暖化対策の推進に関する法律に規定するもののほか、次に掲げる事項について定めるものとする。
(ア) 県内における温室効果ガス総排出量及び温室効果ガスの吸収量に関する目標
(イ) 目標を達成するために実施する施策に関する事項
(ウ) その他本県における地球温暖化対策の推進に必要な事項
ウ 知事は、地球温暖化の防止に係る技術水準の向上及び社会経済情勢の変化を踏まえて必要があると認めるときは、対策計画を変更するものとする。
エ 知事は、対策計画の策定及び変更に当たり、あらかじめ鳥取県環境審議会の意見 を聴くものとする。
オ 知事は、毎年1回、対策計画に基づく措置及び施策の実施の状況を公表するものとする。
(5) 教育・学習活動の支援(第6条)
県は、事業者及び県民が地球温暖化対策の必要性等について理解を深めることができるよう、職場、学校、地域、家庭その他の様々な場における地球温暖化の防止に関する教育・学習活動に対し、指導、助言、人材のあっ旋、情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。
(6) 広報啓発(第7条)
県は、地球温暖化対策の必要性等について、事業者及び県民の理解を深めるため、各種の広報活動、啓発資料の作成及び配布その他必要な措置を講ずるものとする。
(7) 特定事業者の取組計画(第8条)
ア 事業活動に伴い多量の温室効果ガスを排出する者として規則で定めるもの(以下「特定事業者」という。)は、事業活動に伴う温室効果ガスの排出の抑制等のための取組計画を作成し、知事に提出しなければならない。
イ 取組計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。
(ア) 事業活動に伴う温室効果ガス総排出量に関する目標
(イ) 目標を達成するために行う取組に関する事項
(ウ) その他事業活動に伴う温室効果ガスの排出の抑制等に関する事項
ウ 知事は、取組計画が提出されたときは、速やかにその概要を公表するものとする。ただし、特定事業者が公表を希望しない場合で公表が特定事業者の権利利益を害するおそれがあることその他正当な事由があると認められるときは、公表しないものとする。
エ 取組計画を策定した特定事業者は、取組計画に規則で定める変更をしたときは、知事に届け出なければならない。
オ 取組計画を策定した特定事業者は、毎年、取組計画の達成状況を知事に報告しなければならない。
カ 取組計画を変更した旨の届出及び取組計画の達成状況の報告があった場合における公表の取扱いは、取組計画の提出があった場合に準じる。
(8) 特定事業者以外の取組計画(第9条)
ア 特定事業者以外の事業者は、取組計画を作成し、知事に提出することができる。
イ 知事は、取組計画が提出されたときは、速やかにその概要を公表するものとする。ただし、事業者が公表を希望しないときは公表しないものとする。
ウ 取組計画の変更及び達成状況の報告については、特定事業者の例に準じる。
(9) 寄与的取組(第10条)
他の者の温室効果ガスの排出の抑制等(再生可能エネルギーの利用、森林保全その他の規則で定める方法によるものに限る。)に寄与するための取組であって規則で定めるものを行う事業者は、取組計画の作成又はその達成状況の報告に当たり、当該寄与に係る温室効果ガスの排出削減量又は吸収量も自らの事業活動に伴う温室効果ガスの排出削減量とみなすことができる。
(10) 取組の指導等(第11条)
ア 知事は、取組計画の提出、変更の届出及び達成状況の報告を受けた場合において、事業活動に伴う温室効果ガスの排出の抑制等のための取組が十分でないと認めるときは、事業者に対し、取組の見直しその他必要な措置を講ずるよう指導するものとする。
イ 知事は、特定事業者が次のいずれかに該当する場合には、当該特定事業者に対し、必要な措置を講じるよう勧告を行い、その旨を公表することができる。
(ア) 取組計画を提出しないとき。
(イ) 取組計画の変更の届出をしないとき。
(ウ) 取組計画の達成状況の報告をしないとき。
(エ) 指導に従わないとき。
ウ 知事は、勧告を行おうとするときは、あらかじめ鳥取県環境審議会の意見を聞くものとする。この場合においては、その特定事業者に対し、鳥取県環境審議会において弁明する機会を付与する。
(11) 公共交通機関等の利用(第12条)
ア 自動車等を使用する者は、その使用に代えて、公共交通機関、自転車その他の温室効果ガスの排出がより少ない交通手段を利用するよう努めるものとする。
イ 自動車等を使用して通勤又は業務を行う従業員を雇用する事業者は、当該従業員に通勤又は業務における自動車の使用を控えさせるため必要な取組を行うように努めるものとする。
(12) 駐停車中のエンジン停止(第13条)
ア 自動車等を運転する者は、駐車又は停車中は、信号機の表示に従う場合、渋滞による場合等を除き、自動車等のエンジンを停止するものとする。
イ 事業活動に自動車等を使用する事業者は、自動車等を運転する者に駐車又は停車中のエンジン停止を遵守させるため必要な取組を行うよう努めるものとする。
ウ 自動車等を駐車するための施設又は保管するための施設を設置し、又は管理する者は、当該施設を利用する者に対し、駐車中はそのエンジンを停止しなければならないことを看板の掲出その他の方法により周知するものとする。
(13) 推進事業者等の認証(第14条)
ア 知事は、事業活動に使用されている自動車等の駐車又は停車中におけるエンジンの停止について、その推進に積極的に取り組むと認められる事業者を駐停車時エンジン停止推進事業者として認証するものとする。この場合において、当該事業者の氏名及び事業所の所在地を公表する。
イ 知事は、事業活動に使用されていない自動車等の駐車又は停車中におけるエンジンの停止について、その推進に積極的に取り組むと認められる者を駐停車時エンジン停止推進者として認証するものとする。
※第13条及び第14条については、
アイドリングストップ認証制度参照
(14) 適正な整備等(第15条)
ア 自動車等を使用する者は、当該自動車等を適正に整備し、及び適切に運転して、温室効果ガスの排出を最小限にとどめるよう努めるものとする。
イ 自動車等を使用する者は、温室効果ガスの排出量がより少ない自動車等の使用に努めるものとする。
(15) 自動車販売時の説明(第16条)
自動車の販売業を県内の店舗において営む者は、自動車を購入しようとする者に対し、当該自動車の温室効果ガスの排出量その他規則で定める事項を説明するものとする。
(16) 電気機器等の使用に係る温室効果ガスの排出の抑制等(第17~18条)
ア 電気、ガスその他のエネルギーを消費する電気機器等を使用する者は、省エネルギー性能がより高いものを使用するよう努めるものとする。
イ 電気機器等(県内において多数が使用され、かつ、その使用に際し相当量のエネルギーを消費するものとして規則で定めるものに限る。)の販売業を県内の店舗において営む者は、当該店舗に陳列した電気機器等の見やすい位置に、省エネルギー性能に関する表示を行い、電気機器等を購入しようとする者に対し、省エネルギー性能について説明するものとする。
(17) 特定建築主の環境配慮計画(第19条)
ア 建築物の新築、増築、改築その他の行為(規則で定める規模又は内容のものに限る。)をしようとする者(以下「特定建築主」という。)は、当該建築物における温室効果ガスの排出の抑制等に関する環境配慮計画を作成し、知事に提出しなければならない。
イ 環境配慮計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。
(ア) 建築物の名称及び所在地
(イ) 建築物の用途及び概要
(ウ) 建築物における温室効果ガスの排出の抑制等のため、建築物について行う行為
(エ) 建築物に係る温室効果ガスの排出の抑制等のため把握しておく必要があるものとして規則で定める事項
ウ 知事は、環境配慮計画が提出されたときは、速やかにその概要を公表するものとする。
エ 環境配慮計画を提出した特定建築主は、建築物の新築又は増改築等が完了するまでの間に、環境配慮計画について規則で定める変更をするときは、知事に届け出るとともに、新築等が完了したときは、環境配慮計画の達成状況を知事に報告しなければならない。
オ 環境配慮計画を変更した旨の届出及び環境配慮計画の達成状況の報告があった場合における公表の取扱いは、環境配慮計画の提出があった場合に準じる。
(18) 特定建築主以外の環境配慮計画(第20条)
ア 特定建築主以外の建築主は、環境配慮計画を作成し、知事に提出することができる。
イ 知事は、環境配慮計画が提出されたときは、速やかにその概要を公表するものとする。ただし、環境配慮計画を提出した建築主が公表を希望しないときは、公表しないものとする。
ウ 取組計画の変更及び達成状況の報告については、特定建築主の例に準じる。
(19) 環境配慮の指導等(第21条)
ア 知事は、環境配慮計画の提出、変更の届出及び達成状況の報告を受けた場合において、これらの温室効果ガスの排出の抑制等のための措置が十分でないと認めるときは、建築主に対し、措置の見直しその他必要な措置を講じるよう指導するものとする。
イ 知事は、特定建築主が次のいずれかに該当する場合には、当該特定建築主に対し、必要な措置を講じるよう勧告を行い、その旨を公表することができる。
(ア) 環境配慮計画を提出しないとき。
(イ) 環境配慮計画の変更の届出又は新築等の完了の報告をしないとき。
(ウ) 指導に従わないとき。
ウ 知事は、勧告を行おうとするときは、あらかじめ鳥取県環境審議会の意見を聞くものとする。この場合においては、その特定建築主に対し、鳥取県環境審議会において弁明する機会を付与する。
(20) 報告又は資料の提出等(第22条)
知事は、この条例の施行に必要な限度において、事業活動に伴い温室効果ガスを排出する者又は建築主に対し、事業活動の状況又は建築物の設計、施工若しくは維持保全に係る事項について報告又は資料の提出を求めることができる。
(21) 施行期日等(附則)
ア 施行期日は、平成21年6月1日とする。ただし、(7)から(10)まで、(17)から(20) まで及びウについては、平成22年4月1日とする。
イ 鳥取県駐車時等エンジン停止の推進に関する条例は、廃止する。
ウ 特定建築主の環境配慮計画の提出に係る規定は、平成22年4月1日以後にエネルギーの使用の合理化に関する法律に基づく特定建築物に係る届出が提出される新築等について適用する。
エ イに伴う所要の経過措置を講ずる。
オ 知事は、この条例の目的を達成するため、地球温暖化の防止に係る技術水準の向上、社会経済情勢の変化等を勘案し、この条例の規定及びその実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要があると認められるときは、所要の措置を講ずるものとする。