【展示テーマ】
鳥取市国府町宮下の魚類化石
鳥取層群の化石
鳥取市佐治町辰巳峠の化石
東伯郡三朝町成(なる)の植物化石
日南町多里及び鳥取県周辺の主要中新世化石産出層
鳥取市国府町宮下は、保存のきわめて良好な魚類化石を産出します。産出層は今から約1680万年前ごろ(新生代第三紀中新世)にたい積した普含寺泥岩層です。宮下から産出した魚類化石は、当時の浅い海に生息した魚で現在7種が記載されていますが、未記載の魚種を含め種数が多く、この時代の浅海域のたい積層としては、世界的な魚類化石の産地となっています。また、ここではアジア最古のスズメ目化石をはじめ鳥類化石4点、台島型植物群に属する植物化石も産出しています。
鳥取層群は鳥取県東部に分布するたい積層で、新生代第三紀中新世前期~中期(今から約2100万年~1400万年前)に形成されました。鳥取層群には、鳥取県東部を代表する化石層があり、特に諸鹿礫岩層と普含寺泥岩層からは、化石産出の報告が多くあります。
鳥取市佐治町から岡山県に通ずる辰巳峠では、淡水域にたい積した地層があり、保存の良い植物化石を産出し、辰巳峠層と呼ばれています。現在までに46科94属160種が確認され、種数が豊富で日本の中新世後期を代表する植物化石の産地となっています。中でも産出する植物化石の割合では、ムカシブナが42%を占め、圧倒的に多いです。これらの植物化石は辰巳峠植物群と命名されていますが、中新世後期の冷温性落葉広葉樹を主とし、現生種に近いものを含む三徳型植物群に相当するものと考えられています。
東伯郡三朝町成地域には後期中新世(約1160~530万年前)の地層「投入堂凝灰角礫岩層」が広がっており、72種の植物化石が産出します。この時代の国内の植物化石群としては珍しくニレ科のムカシケヤキ(Zelkova ungeri)を多く産出します。温帯落葉広葉樹と若干の常緑樹から構成され、「三朝成植物群」と命名されています。
詳しくはこちら▶【東伯郡三朝町成の植物化石】
※標本をとっとりデジタルコレクション(https://digital-collection.pref.tottori.lg.jp/)でご覧になれます。トップページの「詳しく探す」→フリーワードに「成」と入力し、「博物館」の「化石」のみにチェックをして検索してください。
日南町多里から新屋にかけて分布する多里層は、中新世中期に形成されたたい積層で、広島県北部に分布する備北層群の一部と見なされています。産出する化石はビカリエラ、カケハタアカガイなど熱帯~亜熱帯のマングローブ沼に生息するフネガイ科~ウミニナ科群集に属する貝類とカシ類などの台島型植物群に属する植物化石です。この他にもカニ、ウニ、サメなどの化石を産出し、鳥取県西部の代表的な化石産地となっています。