鳥取県出身で、滋賀県において知的障がい児施設の近江学園を創設したことをはじめ、日本の障がい福祉の礎をつくりあげ、障がい福祉の父と呼ばれた糸賀一雄は、「この子らを世の光に」と語っています。
この言葉は、障がい児(者)を同情や哀れみの目で見るのではなく、一人一人がかえがえのない存在で、それぞれが個性を持った人間であることを認め合える社会をつくろうという思想を表したものと思われます。
鳥取県では、この糸賀一雄の思いを受け止め、人々が互いを尊重し合う社会づくりを進める中で、障がいの特性を理解し、その特性に応じた必要な配慮をするとともに、障がい者が困っているときに、ちょっとした手助けを行う「あいサポート運動」をスタートさせ、その後も、障がい福祉サービスの充実、手話言語条例の制定など様々な取組を積み重ねてきました。
全ての県民が、これまでの取組を更に発展させ、障がい者が地域社会の中で自分らしく安心して生活できる暮らしやすい社会の実現を目指して、「鳥取県民みんなで進める障がい者が暮らしやすい社会づくり条例」(愛称:あいサポート条例)を制定しました。
施行日:平成29年9月1日
5つの基本的な考え方
あいサポート条例は、障がい者が暮らしやすい社会づくりに向けて、大きく5つの柱を設けています。
1.障がい者への理解とあいサポート運動の推進
2.障がい者差別の解消
3.障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の充実と情報アクセシビリティの保障
4.災害時における障がい者支援
5.障がい者の自立と社会参加の推進
行政、事業者、県民の責務や役割を明確化
障がい者が暮らしやすい社会をつくるためには、行政、事業者、県民がお互いに協力し合い、みんなで進めることが重要です。この条例では、それぞれの責務や役割を具体的に示しています。
行政の役割
障がい者が暮らしやすい社会づくりを進めるための施策を定めて、総合的かつ計画的に取り組みます。
事業者の役割
事業者は、障がい者が利用しやすいサービスを提供し、障がい者が働きやすい環境を整えます。
県民の役割
県民は、障がいや障がい者の対する理解を深め、障がい者が暮らしやすい社会づくりに協力するよう努めます。
障がいの特性に応じた取組を明示
障がい者との意思疎通、災害発生時の情報伝達、避難所での対応について、障がいの種別ごとに、取るべき対応や取組を具体的に示しています。