株式会社エイト
町特産「日南トマト®」と水稲の栽培、冬季の除雪事業を行っている「株式会社エイト」。自らの事業や新規就農の強化などで、地元の利益と雇用拡大を目指しています。
主力の日南トマト®。病害虫に強く、甘みと酸味のバランスも良くコクがある(写真提供は鳥取西部農業協同組合)
営農の改善と強化で地元貢献
日南町にある株式会社エイトは、春から秋にかけてトマトと水稲を栽培、農閑期の冬場には町から委託を受け、町道と県道の除雪作業を行っています。会社設立は2014(平成26)年。それまで家族営農だった代表の岩田正さんに、息子の真也さんが「対外的な信用が増し、従業員も確保しやすくなる法人化」を進言したのがきっかけです。社会保険制度を充実させ、今年4月には20代の地元男性を正社員として採用。現在、農繁期、冬季除雪オペレーター・助手として、パート労働者を含む社員10人を雇用しています。
主力のトマトは、標高550メートルを超える山あいの農地に建てたビニールハウス22棟(33アール)で栽培されています。最も大変な作業はこまやかな気配りと労力を要するかん水(水やり)です。省力化を進めるため、作物の生育に合わせて適時適量の水や肥料を均一に供給するシステム機器を導入。これにより、トマトは良質で安定し、収量が増加しました。正さんは「システム化で労力に余裕が生まれ、週休2日を実現。収穫と稲刈りが重なる繁忙期も、両方を効率良くできる」と話します。
また、県認定の指導農業士でもある正さんは、新規就農者の指導に出向き、地元農業の生産力強化にも力を注いでいます。こうした合理化や新規就農者の育成などの活動が評価され、2018(平成30)年、同社は農林水産省と全国担い手育成総合支援協議会が共催する全国優良経営体表彰(経営改善や地域農業の活性化を実践する農業者・団体を表彰する制度。)の経営改善部門で同協議会会長賞を受賞しました。正さんと真也さんは「地元と共に大きくなりたい。もうかる農業を実践し、地元に雇用と利益を生み出せることを証明したい」と声をそろえます。
システム機器に肥料の割合や供給のタイミングを設定
定植直後のトマトの苗。土壌に見える配管はシステムから伸びている
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取材を終えて
同社は来年度、トマトを増反。「人をもっと雇用したい。設備投資も積極的に行う」と言う岩田さんにあふれる情熱を感じました。(か)
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