防災・危機管理情報


  「きこえない・きこえにくい」人たちがスポーツの技を競い、自立や社会参加を促進する全国大会「第53回全国ろうあ者体育大会in鳥取・島根」が9月21日、22日に山陰両県で開催されます。陸上や卓球、テニスやバレーボールなど11競技に約1200人の選手が参加。皆さんの応援は選手の活躍を後押しし、ろう者への理解につながります。

全国から選手が山陰に集結

  ろう者による国内最大規模のスポーツ大会「全国ろうあ者体育大会」は、毎年日本各地で行われていますが、山陰では初開催です。始まりは1967(昭和42)年。野球、陸上、卓球の3競技で始まった第1回大会から、全国の「きこえない・きこえにくい」スポーツ選手たちは、共に競う仲間と競技数を増やしてきました。
  53回目の今大会は、全国から選手や役員、ボランティアなど合わせて約1400人を超える人が参加します。ソフトボール、サッカー、野球には、地域予選を突破したチームが、その他の競技は参加を申し出た全チームが出場します。中には、ろう者の五輪「デフリンピック」に出場したトップアスリートも。
  大会は県内4市町、島根県2市の会場で開催されます。20日に米子市で開会式、21 日、22日に陸上、バドミントンやサッカーなど11競技が行われます。
  耳がきこえなくても競技のルールや施設、設備、道具は変わりません。試合時は、審判が笛を吹くと同時にジェスチャーをしたり、審判のそばに手話言語のできる人を配置したりするなど、選手にも来場者にも進行や内容が分かりやすくなっています。
  また、この大会には本県からも陸上や卓球、ボウリングなど5競技に26人の選手が参加します。地元選手や日本代表選手の活躍を、間近で観戦できる良い機会です。

第53回 全国ろうあ者体育大会 in 鳥取・島根

■日時 9月21日(土)午前9時から午後5時 9月22日(日)午前9時から午後3時

バスケットボール 鳥取県民体育館(鳥取市布勢)コカ・コーラ ボトラーズジャパンスポーツパーク
バドミントン 県立鳥取産業体育館(鳥取市天神町)
ソフトボール 県立倉吉総合産業高等学校(倉吉市小田) 北栄町北条運動場(北栄町土下)
バレーボール 米子市民体育館(米子市東山町) 県立米子産業体育館(米子市東福原)
サッカー 米子市営東山陸上競技場(米子市東山町) 米子市営東山球技場(米子市車尾)
卓球 松江市総合体育館(松江市学園南)
テニス 松江総合運動公園松江市営庭球場(松江市上乃木)
陸上 島根県立浜山公園陸上競技場(出雲市大社町)
野球 出雲健康公園出雲ドーム(出雲市矢野町) 斐川公園野球場(出雲市斐川町)
ボウリング 出雲会館センターボウル(出雲市渡橋町)
フットサル(オープン競技) 島根県立浜山公園体育館(出雲市大社町)

【問い合わせ先】 第53回全国ろうあ者体育大会鳥取県実行委員会((公社)鳥取県聴覚障害者協会内)
電話 0859‐30‐3720 ファクシミリ 0859‐30‐3131
大会公式ホームページ https://torideaf.jp/publics/index/92/
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出場選手の中から3人をご紹介


つながり広げ、心育てる

バレーボール
福本(ふくもと) 和巳(かずみ)さん(米子市)

福本和巳さんの写真
豊富な経験と実力でチームを導く福本さん

  バレーボール競技に出場する福本和巳さんは、ろう者による4年に1度の国際的なスポーツの祭典「デフリンピック」に5大会も出場経験があります。バレーボールを始めたのは中学生の時。県立鳥取(ろう)学校の先輩、下垣(しもがき)彰則(あきのり)さんら4人がデフリンピックのバレーボール競技に日本代表選手として出場し、日本初の銀メダルを取ったことを直接聞いてから一層練習するようになりました。
  全国ろうあ者体育大会には毎年出場し、日本一になった回数は9回。県外選手からは「鳥取県といえばバレーボール」と言われるほどの古豪チームをまとめてきた一人です。
  競技歴37年目の福本さんは、バレーボールを通じての社会参加を、若いメンバーにもどんどん経験してほしいと考えています。外の世界を知り、体で感じることで、人が育ち、心も育つとチームを引っ張ります。
  練習では、基本技術とコミュニケーションを大切にし、常に「日本一であること」を口に出して、日々励んでいます。鳥取県チームは「拾ってつないで速攻を決める」のが持ち味。身長は決して高くはない福本さん、競技経験を生かした駆け引きやレシーブの正確さで得点につなげます。目標はチーム一丸となっての日本一です。

練習風景
粘り強くボールを拾う


福本和巳さんらバレーボール選手
雄たけびと好記録に期待して

陸上(やり投げ)
前島(まえじま) 浩二(こうじ)さん(鳥取市)

前島浩二さんの写真
助走からリズムに乗ってやりを投げるよう心掛けている前島さん

  中学時代、陸上部で短距離走の選手だった前島浩二さん。高校1年生の時に顧問の先生に誘われたのがきっかけで、やり投げに転向、今年で競技歴19年目になります。
  やり投げは、3投中の最長飛距離を競う競技。助走の勢いを投げる力に加えて距離を伸ばします。   「きこえる」人も出場する大会に参加したこともあります。その時は手話通訳者が不在で、審判員の口の動きも読み取れず、競技の進行が分かりにくかったという前島さん。今はあらかじめ、はっきりと口を動かして話してもらうよう審判員に伝えています。
  前島さんは「世界ろう者陸上競技選手権大会」に、3大会連続して出場した実績を持つ日本代表選手。以前は力に頼っていましたが、今は全身の筋肉をしなやかに使えるように体幹を鍛えるトレーニングも取り入れています。
  「好記録が出る時には自然に雄たけびが出る。皆さんの前で、雄たけびを見せ、優勝したい」と気迫がみなぎっています。

練習の様子
1投ずつフォームの確認をしながら投げる

やり投げの写真
写真提供は(一社)日本聴覚障害者陸上競技協会
仲間増え、試合が楽しみ

バドミントン
前田(まえた) 真那(まな)さん(鳥取市)

前田真那さんの写真
仕事を終えてから週2回練習に励む前田さん

  小学生の頃はスポーツに関わる機会がなかったという前田真那さん。中学・高校時代に限られた部活の中から卓球部を選びました。しかし、社会人になってバドミントンと出合い、昨年、全国ろうあ者体育大会のシングルスに出場。今年は、この全国大会が山陰で開催されるとあって出場する仲間が増え、4人になりました。
  「体力を使うスポーツだけど、仲間が増えて練習が楽しい」と、前田さんは卓球よりも広いコートを前後左右に動きシャトルを打ち返します。シャトルが風を切る音は聞こえなくても、ラケットの芯に当てて相手に打ち返した時には手に伝わる感覚で分かるといいます。
  バドミントンは試合中、一方の得点が11点になると1分以内の休憩が認められています。このことに気付かず、手話言語のできる人に伝えてもらったことがありました。今はそういうことがないように、常に周りや会場の掲示板を見て確認するようにしています。
  県立鳥取産業体育館で開催されるバドミントン競技。前田さんはシングルスとダブルスに出場します。ダブルスのペアを組む田中(たなか)菜月(なつき)さんは、左右に動き強烈なスマッシュが特長。ネット際のプレーが得意な前田さんと息を合わせたプレーで試合を優位に進めます。目標は「試合を楽しんで優勝」です。

田中さんとハイタッチする前田さんの写真
ペアを組む田中さんと。 得点を入れてハイタッチ

練習の様子

ボランティアが大会を支える

  会場では、全国から来県する選手や役員の皆さんを大会ボランティアが迎えます。また、両県の高校生ボランティア100人以上が、受け付け業務や会場案内などで選手や来場者をサポート。彼らは、事前に手話講座を受講し、選手やチーム関係者、来場者とスムーズな意思疎通を図ります。
  また、バドミントン競技に出場する前田真那さんは「観客席に『拍手』の手話が見られると力が湧く」と話していました。会場で「拍手」の手話(下記イラスト参照)を使って、選手へ応援の気持ちを伝えましょう。
  会場でのこうした応援が全国から参加する選手の力を引き出し、ろう者への理解を深めることにつながります。

手話を覚えてみよう

「拍手」
「拍手」の手話のイラスト
両手を上げて手のひらをヒラヒラ振る


【問い合わせ先】 県庁スポーツ課
電話 0857‐26‐7235 ファクシミリ 0857‐26‐8129
メールアドレス sports@pref.tottori.lg.jp



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