2回戦も力作揃いで、本当に迷いました。
「1年6組」は、すごく大人っぽい感覚で、3首とも動詞に工夫をされていて、若々しいし、そのチョイスもいいと思いました。具体的には、先鋒の歌は、「持ち上げる」という動詞によってカメラの質感や重さを、同時に、視界の、暗転していたものから明るいものへの転回も感じさせる。中堅の歌も、「歩く」「駆け足」というような動作の表現なんですけど、これも動きによって自分の気持ちをよく表している歌だと思います。大将の歌も、「ころがる」っていうのが、とてもいい表現だと思います。特に、「声」っていうものに対しての「ころがる」ですから、夕暮れの教室って本当に淋しいんだけど、「声」が「ころがる」ことによって少し救われるというか、明るい気持ちにもなれた、というような印象を持ちました。
「もくようび」の方は、個性的な歌ばかりでした。先鋒の歌は、「ぱかぱか」が秀逸ですよね。青信号の概念を変えてくれたというか、私もこれから点滅信号を見るたびに、頭の中で「ぱかぱか」って言うと思います。中堅の歌は、「止まれ」という、既成概念に固まっているような大人に対する少し辛辣な気持ちは持ち続けてほしいと思いました。そして、そんな大人たちとは違って、自分は歩いていくんだという、気持ちへの転換がいいと思います。大将の歌も、「歌えない」というマイナスのところから入って、最後は「笑顔のままで」ということで終わり、うまく転換されているなと思います。
「1年6組」は動詞によって力強く、時には繊細に詠い、「もくようび」は世界の転換というか、ぐるっとひっくり返してくれるような面白さがあって、どちらもよかったと思います。