私たちは、全チームの決勝の歌を手元に持っていて読ませていただいたんですけど、パフォーマンスを含め、全員の歌を読み合いたかったな、というのがまず第一にあります。本当に僅差で、でもやっぱりチームカラーがしっかり出てくる面白さも感じました。
「花月マーチ」は、先鋒と中堅の歌で、印象的な直喩を使って、比喩への挑戦がなされていて、大将の歌では、物に注目して、存在するものに対する感情とか、呼び起こされるものに焦点を当てて詠っています。駄菓子屋って、今の高校生にとっては少し遠い存在かもしれないけど、頑張って持ってきましたね。そういう挑戦もあり、先進的な歌が並んでいるなと、印象深かったです。
「1年6組」は言葉使いが素朴で、無理なく詠っている印象でした。先鋒の歌は、「キャンバス」に「埋めつくす」なんて言葉を持ってきて、勢いがある感じ。中堅の歌も、ちょっと豪快なお母さんの感じがあって、大きな表現ですよね。大将の歌も、青色のボトル、どうかなと思ったけれど、スポーツドリンクと聞いてイメージが広がったし、青という言葉がうまく効いていると思います。
「FIVE」は、題の使い方がすごくよかったと思いますね。先鋒の歌も印象深い表現があって、「大げさに気付いてほしい」なんて惹かれる表現で、そこに「大」っていう題を持ってきた。中堅も、空に広げる大きな「布」という、本当に真っすぐ題に向かっている歌だなと、好印象を持ちましたね。大将の歌も、相聞歌が真っ盛りって感じで、とてもいい。「僕は出会った君と出会った」なんて、私はもう詠えない。ちょっと鳥肌が立つくらい好きな表現でした。この題の使い方っていう点で、私は「FIVE」を選んだんです。どれも僅差で、準決勝の作品と決勝の作品、どれをどこに出してくるかで、みんなすごく悩んだと思うんですよね。そういう、いろんな作戦が練られた中で、決勝に力を注いだ「FIVE」が強かったって思います。