『初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン』について
令和5年7月に文部科学省から教育現場における生成AI活用に関する通知(『初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインの作成について』)が発出され、鳥取県でも8月に「県立学校における生成AIの利用に関する取扱方針(暫定版)について」を発出するなど、今大注目の生成AIについては、県教育委員会としても、情報収集や活用について検討しているところです。今回は、生成AIの概要について、簡単にご紹介します。
【生成AIとは】(ChatGPTやBing Chat、Google Bard等)
対話型の生成AIでは、あたかも人間と自然に会話しているかのような応答が可能であり、Web上の文章などを大量に学習するなどビックデータを基に、文書作成や翻訳等の素案作成、新たな発想やアイデアを創造する、壁打ちの相手となることができます。他にも、画像や動画の作成ができる生成AIもあります。そのため、民間企業等では、多岐にわたる活用が広まりつつあり、今後の働き方や教育現場での学び方を大きく変える可能性を秘めています。(図1)
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図1
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しかし、その反面、生成AIの回答には誤りがあることや最近ニュース等で報道されているようにフェイク動画の作成が容易にできるなど、大きな社会問題になりつつあります。
そのため、生成AIの教育利用の方向性(基本的な考え方)について、文部科学省のガイドラインを要約すると以下の通りとなります。
(1) 現地点では活用が有効な場面を検証しつつ、限定的な利用から始めることが適切。
(2) 学校外での使用の可能性を考慮し、全ての学校で、情報の真偽を確認する習慣づけを含めた情報活用能力を育む教 育活動を充実させる。
(3) 校務での適切な活用や教職員研修を通じて、教職員のAIリテラシー向上や働き方改革につなげることが必要。
【当面の対応方針】
生成AIは社会の様々な場面で急速に普及が進んでおり、今後も各分野でより一層の活用が見込まれることから、学校においては「Society5.0」を生き抜く子どもたちに対して、このような新しい技術に対応できる情報活用能力の育成を図っていくことが重要です。生成AIは発展途上の技術であり、高い利便性を有する反面、取扱いによっては個人情報及び非公開情報の流出や著作権侵害のリスク等、様々な懸念もあることから、当面県立学校では、文部科学省の暫定的なガイドラインに基づき、限定的に取り扱うものとします。
なお、文部科学省も示しているとおり、まだ「暫定的」なガイドラインであり、生成AIの進化に伴い、短期間で、アップデートされた新たなガイドライン等が発出され、ますます活用が進むと考えられます。鳥取県教育センターとしては、今後も生成AIの最新情報を収集、発信し、教職員向けの研修会等の実施を予定しています。
最後に文部科学省が開催した「生成AIの利用に関するオンライン研修会」をご紹介します。最新(令和5年10月現在)の生成AIについて、有識者による研修会の動画の視聴や研修会のスライド等も確認できますので、ぜひご活用ください。