記念講演会の様子
特別展「澤田廉三と美喜の時代」の記念講演会を次のとおり行い、約90名の方にご聴講いただきました。
講師
酒井哲哉氏(東京大学教養学部教授)
演題
昭和の外交官の系譜 ~澤田廉三の軌跡~
日時
平成20年11月8日(土) 午後2時~4時
場所
鳥取県立図書館2階 大研修室
講演の内容
次のような内容をご講演いただきました。
第一次大戦後の国際秩序のあり方を検討したパリ講和会議で、日本外交が守勢に立ったことに対する批判から生まれた、外務省の改革、改造という時代思潮に澤田廉三は位置していた。また澤田廉三は1920年代の主要な会議外交(パリ講和会議・ワシントン会議・北京関税会議)に参加して、会議外交の重要性を考え、自身は、交渉者・調整者としてのプロフェッショナルであるという強い自意識を持っていた。澤田廉三は、一般的には「欧米派」の系譜にある外交官として位置づけられているが、鳥取県立公文書館で発掘した手紙などからも、「アジア派」の重光葵(元外務大臣)と親しいことが分かる。会議外交と自主外交、欧米派とアジア派の微妙な交錯の中で、戦後、国連への加盟を澤田廉三が導いたのは理解可能なことである。