知ってもらいたい歴史の山
鳥取市街地の北東方向にある標高263メートルの「久松山」。山頂と中腹を中心に鳥取城跡の遺構があり、付近には県立博物館、国指定重要文化財の「仁風閣」、桜の名所「久松公園」などの名所旧跡が集まっています。70人の会員から成る「久松山を考える会」は、山とその周辺の魅力を再発見し、さまざまな形で広く伝えています。
会設立の発端は、1992年に始まった戦国武将・吉川経家の銅像建立運動。鳥取城主だった吉川公を顕彰する中で、久松山と鳥取城跡を愛し、世に広めようという機運が麓の住民の間に高まり、94年に「久松山を考える会」が発足しました。
活動の中心は、久松山山系の登山や周辺の散策を通じて、自然と歴史について学習すること。さらに、使われなくなっていた登山道の整備や、城跡の整備、建物復元について行政への提言も。時を同じくして、鳥取市が2006年に鳥取城跡整備基本計画を策定。石垣の整備や擬宝珠橋の復元などが着々と進み、当時の姿がよみがえりつつあります。
「近年の活動は、6月の鳥取城攻防懐古登山マラソンや、8月の山頂の“大文字”点灯、年末年始の石垣イルミネーション、登山道整備など。多くの人に久松山の存在を意識してもらい、素晴らしさを知ってほしい」と話すのは同会会長の亀屋至郎さん。東日本大震災の鎮魂を願い、11年に始まった久松山山頂の“大文字”は、今やお盆の風物詩として定着。登山道の標識や樹木名板の設置は、登山の手助けになっています。「子どもの頃は、久松山が小さな冒険の場だった。遊びながら自然、歴史も学べる山として、老若男女問わず親しんでもらいたい」と亀屋さん。会の発足から今年で25年、久松山の魅力発信はこれからも続きます。
復元された擬宝珠橋と会員たち。山の頂や中腹には石垣が残る
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