今年も、琴浦町に夏の訪れを告げるアゴ(トビウオ)の水揚げが始まっている。
刺し身や焼き物、フライなどアゴを使った料理はさまざまあるが「旬に一度は食べたくなる味」とこの地に住む者が口にする料理がある。
「アゴの子煮付け」だ。
同町内には、アゴの水揚げ量鳥取県内一(昨年約63トン)を誇る赤碕港がある。
12人の漁師が5月中旬から7月中旬にかけアゴ漁に繰り出す。
山陰や九州地方では、トビウオをアゴと呼ぶが、名前の由来ははっきりとしない。
ちなみに、学名ではCypselurus agoo agooと呼ばれている。
煮付けは、しょうゆやみりん、しょうがなどを加えて煮るだけのシンプル料理。
だが、子(卵)は初夏に捕れる子持ちアゴからしか取れず“魚より貴重”と言われてきた。
「ぜいたくな一品」と赤碕町漁協女性部の三好康子部長。
なれた手つきでアゴをおろし、オレンジ色に輝く10センチ程度の新鮮な子を取ってみせた。
子を煮詰める鍋からは、しょうゆなどの香りが立ち込め、どこか懐かしさを感じさせる。
完成した煮付けの食感はもちもちとし、味は絶品である。
調理を終え、三好部長は「アゴは、子は煮付け、身はつみれ汁で食べるのが一番」と笑顔で話していた。