“モチモチ”とした食感とあっさりした味わい。
もち米を鶏肉、ニンジン、ゴボウ、シイタケ、クリなどと一緒にだし汁でじっくり蒸して出来上がる「大山おこわ」は“モチモチ”とした食感と、あっさりとした味が特徴。秋には山菜を入れるなど、季節の野菜で彩りを加えることで年中親しまれている。
大山おこわを伝承、普及している「大山三色会」(荒金恵美子会長)には、50~60代の女性を中心に、大山町の住民約250人が所属している。県内各地で開催されるイベントなどでブース出展。多いときは2日間で千食を販売する。
国立公園・大山の名をとって大山おこわと名付けられたのは明治以降で、以前は地区名から「汗(あせ)入(り)おこわ」と呼ばれていた。
かつて僧兵が戦場に赴く際、勝利を祈願して山鳥と山草を入れた米飯を炊きだしたのが始まりとされる。その後、祭りや祝い事のごちそうとして受け継がれてきた。
明治時代には、大山寺の博労座で開かれていた牛馬市に、各地から集まってきた人たちの食事や土産、大山参りの弁当としても人気があった。
「大山三色会」は、さまざまな食イベントに積極的に参加。「会場の端っこで出展していても、探してくれる人がいる。『大山おこわを待っていた』と言ってもらえるのがうれしい」と荒金会長は目を細める。
古くから伝わる大山おこわ。各家庭で味付けや材料が工夫され、“家庭の味”として受け継がれている。