収用委員会は、審理を終結した後、調査・検討を行ったうえで、裁決を行います。
裁決は文書によって行われ、裁決書の正本が起業者、土地所有者及び関係人に送付されます。
裁決には、権利取得裁決と明渡裁決の2種類があります。
権利取得裁決では、収用又は使用する土地の範囲、土地などに関する権利に対する損失の補償、権利取得の時期について裁決されます。
明渡裁決では、土地の明渡しに伴う損失の補償(物件の移転料など)、明渡しの期限について裁決されます。
権利取得裁決により、起業者は、権利取得の時期までに土地所有者や関係人に補償金を支払い、土地の所有権を取得します。
明渡裁決により、起業者は、明渡しの期限までに権利者に補償金を支払い、土地所有者や関係人は、明渡しの期限までに物件を移転するなどして土地を起業者に明け渡すことになります。
土地や物件について、権利の主張に争いがあり権利者が誰であるかわからない場合や、権利者の行方がわからない場合など、補償金を受け取るべき者の氏名や住所を確知することができないときは、土地所有者などが不明であるとして裁決をすることがあります。(これを不明裁決といいます。)
不明裁決により補償金を受け取るべき者を確知することができない場合や、土地所有者や関係人が補償金の受領を拒んだ場合などは、起業者は、その補償金を法務局に供託することができ、この供託によって補償金が支払われたのと同様の効果が生じます。
土地所有者及び関係人が明渡しの期限までに物件を移転しないで土地を明け渡さないときは、起業者の請求により、都道府県知事が物件の移転などを代執行することができます。
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