平成24年11月8日、再び境港市史編さん室資料調査です。今回は、約2ヶ月ぶりの参加となる岸本委員と、今のところ皆勤の岩佐委員が参加してくださいました。
岩佐委員が今回注目されたのは、終戦の翌年である昭和21年の郵便ハガキです。昭和21年の始め頃は、物の無い時代をあらわしてか、今では考えられないようなとても小さなハガキが使われていたようです。ところが昭和21年の終わり頃になると、今とそう変わらないサイズになっていきます。「日本の急速な回復力が目に見えるようです」とのコメントをいただきました。
岸本委員も第二次大戦後の資料に注目されたようです。「外江村の史料は、第二次大戦直後の村の変化が克明に記されている点だけでなく、逆に粛々と行政が継続していることも記されて興味深いものです」とのことでした。
(写真1)調査中の岩佐委員
(写真2)岸本委員
県史編さん室
平成24年10月29日から30日、 新鳥取県史編さん専門部会(民俗)では大山町宮内の高杉神社で4年に1度行われるうわなり神事を調査しました。
この神事の起こりは高杉神社に次のように伝わっています。
- 雄略天皇丙辰(476)年、近郷で次々と災難が起こった。
- 託宣(神のお告げ)によって、孝霊天皇(紀元前342年~紀元前215年:『古事記』『日本書紀』に記される第7代天皇)に仕えた2人の官女「松姫命」と「千代姫命」の霊魂が、本妻である「細姫命」に対して嫉妬していることが原因とわかった。
- 3人の姫の社をつくって祀り、祭日には神事を行ったところ、災難は治まり幸せに生活することが出来る様になった 。
「うわなり」とは後妻のことです。室町時代から江戸時代にかけて、後妻打ち(うわなりうち)という民間習俗がありました。夫が後妻をめとったとき、先妻が親しい女たちにたのみ、使者を送って予告のうえで後妻の家を襲い、家財などを打ち荒らすというものです(参照:小学館『日本国語大辞典』)。うわなり神事は、この習俗が神事化したものと思われます。調査に御協力いただいた、高杉神社、宮内地区の皆様に御礼申し上げます。
【前夜祭1】年番で選ばれた3人の打神(うちがみ)が高杉神社で前夜祭に参加します。
【前夜祭2】宮司がくじ引きをします。
それによって本殿(もとどの)、仲殿(なかどの)、末殿(あとどの)が決まります。
【潮垢離(しおこり)1】祭当日の早朝、3人は神社に集合します。
【潮垢離2】宮司による神事の後、3人は福尾海岸に向けて出発します。
【潮垢離3】福尾海岸に着くと、身体を清め、塩草(海藻)を拾い藁苞(わらつと)につめます。
【潮垢離4】福尾海岸に末殿の御幣を立てて帰途につきます。
【潮垢離5】藁苞と塩草の様子
【潮垢離6】仲殿は、帰る途中に仁王堂の北端に御幣を立てます。
【潮垢離7】本殿は、高杉神社に戻ってから本殿北側に御幣を立てます。
【潮垢離8】塩草が入った藁苞を奉納すると潮垢離は終了です。
【潮垢離9】塩草の様子
【うわなり神事1】深夜11時に神社に集まった打神3人。
神事の後、宮司が御供(神饌)の飯を茅の箸で一口づつ食べさせると
打神に本殿、仲殿、末殿の神霊が憑依(ひょうい)するといいます。これを入座式といいます。
【うわなり神事2】入座式が終わると打神3人、御幣を持った氏子が神社前の小川に行き、
打神は冷水で禊(みそぎ)をします。これを水垢離(みずこり)といいます。
【うわなり神事3】打神3人が禊をする小川。禊の様子は撮影禁止になっています。
【うわなり神事4】水垢離が終わると一度、神社に戻り打神3人は待機します。
【うわなり神事5】打神3人は、神社境内に4本の竹と注連縄で設けられた神事場(じんじば)へ神幸行列します。
ここで、投げ盃式、打ち杖渡し式、打ち杖の締め直し、打ち合い式、成就式が行われます。
【うわなり神事6】打ち合い式に使用される打ち杖。
長いものを本殿、中を仲殿、短いものを末殿が使用します。
打ち合いといっても殴り合う訳で無く、打ち杖を利き手でない方に持たせ、打ち杖を打ち合わせます。
同時に斎主が「本殿の勝ち」と大声を掛けて勝負をつけます。この様子は現在、撮影禁止です。
【うわなり神事7】最後に打神3人は、氏子たちに御供の飯を御幣の紙に載せて配ります。
これでうわなり神事は終了します。
県史編さん室
平成24年11月1日、またまた境港市史編さん室にお邪魔しました。今回で旧外江村役場資料の調査が一通り終わりました。そこで各委員に旧外江村役場資料の感想を伺いました。
田村委員「町村議会関係の資料がよく残してあった。保存状態もきれい」。
喜多村委員「おもしろかったです」
岩佐委員は「他の村と比べてみないとなんとも言えない」ということでした。
境港市史編さん室資料調査もこれで残すは旧渡村役場資料、旧余子村資料、旧上道教育委員会資料になりました。
(写真1)資料選定中の田村委員
(写真2)喜多村委員(左)と岩佐委員(右)
県史編さん室
第1回調査、第2回調査に続き、境港市史編さん室3回目の資料調査を行いました(平成24年10月26日)。
今回注目を集めたのは、佐々木委員が見つけた勧業関係の資料で、中海の牡蠣の養殖に関するものです。境港市史編さん室はさまざまな分野のいい資料が残っているが、勧業関係が見つからない、と話していたところに驚きの発見です。
これには近代の勧業に詳しい田村委員も「今まで見たことがない資料。貴重な発見です」と話しておられました。
(写真1)資料を読み込み中の佐々木委員
(写真2)毎回、みごとなチームワークを見せる喜多村委員(左)と岩佐委員(右)
(写真3)資料を撮影する清水専門員
県史編さん室
平成24年10月19日から23日までの3日間、県内3会場で、県庁など行政機関の文書管理主任を対象とした研修会が開催されました。総務部政策法務課の説明につづき、当館担当職員が歴史資料として重要な公文書の取扱いについて、説明しました。
特に公文書管理条例の施行により変更となった公文書の引継の流れ、簿冊作成時の注意点、公文書館での利用提供のしくみを説明し、また公文書簿冊の利用手続きや県公報の公開ページなど特に行政ニーズの高いサービスについて紹介しました。
東部地区(23日県庁講堂)で歴史公文書の引継の流れについて説明する当館職員
平成24年10月18日(木)、 新鳥取県史編さん専門部会(民俗)では三朝町立南小学校と三朝町立東小学校が所蔵する千歯扱きの調査しました。
三朝町立南小学校には2点、三朝町立東小学校には3点の千歯扱きが収蔵されており、その写真撮影、採寸、墨書や印刻の記録作業をしました。その内、三朝町立東小学校に所蔵される1点は、印刻や墨書で製作年を確認できませんでしたが、鉄製の刃部分の長さやその断面の形態からすると明治初期、または幕末ではないかと思われます。県内には江戸時代製作と確認できる千歯扱きは数点しかありませんので、大変貴重な資料である可能性があります。
御協力いただいた、三朝町教育委員会事務局、三朝町南小学校、三朝町立東小学校の皆様に御礼申し上げます。
(写真1)三朝町立東小学校に所蔵される千歯扱きの表側
(写真2)三朝町立東小学校に所蔵される千歯扱きの裏側
(写真3)千歯扱きの採寸をする関本明子調査委員
(写真4)採寸した寸法などのデータを入力する関本調査委員
県史編さん室
平成24年10月14日(日)、近世部会は伯耆町上細見の矢田貝家で、東京大学経済学部資料室が実施している資料調査に参加しました。
矢田貝家は、出雲のタタラ製鉄に関わった一族とされ、江戸時代初めに伯耆国に移住したと伝わります。幕末の嘉永年間(1844~1853)に出雲街道沿いの現在地に屋敷を構えて以降、主に地主業を営んできました。今回、近世部会は調査では、山論関係、川普請、株関係の文書を中心に調査を実施しました。
今回の調査に御協力いただいた、矢田貝様、東京大学経済学部資料室の皆様に御礼申し上げます。
(写真1)矢田貝家の長屋門
(写真2)矢田貝家の主屋。長屋門とともに国の登録有形文化財になっています。
(写真3)文書調査をする東京大学経済学部資料室スタッフ
(写真4)新鳥取県史に掲載する候補資料を写真撮影する様子
県史編さん室
平成24年9月27日(木)及び10月11日(木)、日野町歴史民俗資料館において民俗部会は第2回、第3回の民具調査を実施しました。
日野町教育委員会と共同で実施している調査は、9月13日(木)に第1回を実施し、残暑の中のきびしい作業になりました。しかし10月11日の調査はすっかり涼しくなった資料館での作業になりました。調査は順調に進んでおり、資料館2階部分の調査は終了し、展示スペースの調査を進めています。11日の時点で403点の採寸、写真撮影が終了しました。参加いただいた資料館友の会、県史編さん協力員の皆様にお礼申し上げます。
また今回の調査では、日野町でタタラ製鉄が行われていた時代に砂鉄(日野地方ではコガネという)を入れて運搬した藁製品の「コガネ袋」という貴重な資料を調査しました。以下、資料と民具調査の様子の写真です。ご覧ください。
(写真1)日野町歴史民俗資料館所蔵のタタラ製鉄の砂鉄を入れるコガネ袋
(写真2)9月27日の調査
ホコリまみれになりながらの作業になりました
(写真3)9月27日の調査
20年以上そのままの資料もありました
(写真4)9月27日の調査
資料である着物の帯を確認しています
(写真5)9月27日の調査
資料館友の会や県史編さん協力員が休憩しながら打ち合わせしています
(写真6)10月11日の調査
資料にある墨書を確認しています
(写真7)平成24年6月14日の資料の様子
まだ雑然としており、コガネ袋もここにまぎれ込んでいました
(写真8)平成24年10月11日の資料の様子
かなり整理されてきました
(写真9)資料館2階の次は展示室の資料調査をします
(写真10)現在は、展示室の資料を調査中です
県史編さん室
平成24年10月11日(木)、第2回近代・現代合同部会を開催しました。
今回は、9名の委員全員に御参加いただきき、ブックレット刊行計画の見直しと来年度事業について協議しました。ブックレット刊行計画については、近代部会、現代部会が協力して執筆することを決定、来年度事業については、境港市史編さん室、山陰歴史館等の資料調査を進めていくことで各委員の合意を得ました。
(写真1)協議中の全景写真
(写真2)協議中の小山現代部会長(奥)と岸本近代部会長(手前)
(写真3)なごやかに協議中の石田委員(左)、西村委員(中)、佐々木委員(右)
県史編さん室