9月12日に、文部科学省初等中等教育局視学官 安部恭子様を講師にお迎えし、【小学校・中学校特別活動】「よりよい合意形成を図り、実践する学級活動」研修を実施しました。
講義『学級活動において育成をめざす資質・能力』では、特別活動において育成をめざす資質・能力について、具体的にお話しいただきました。子どもたちが実生活や実社会に活用できる力として育んでいくことが大切であることや、子どもたちが学級活動や児童生徒会活動などで、みんなで知恵を出し合ってよりよいものにしていくことをめざしたり、これまでに身に付けた力を発揮、向上させたりすることが大切であることなどです。
特別活動において育成すべき資質・能力の重要な視点は次の3つです。これらを深く関連づけながら指導していく必要があります。
○人間関係形成…違いを認め合い、みんなと共に生きていく力を育てる
人間関係が大切だということは特別活動以外でも学ぶ場所はありますが、単に「仲よくしましょう」ということではありません。重要なのは、子どもたち自身が「集団の中でよりよい関係を築いていきたい」と思えるような学級や学校にしていくことです。
○社会参画…よりよい集団や社会をつくろうとする力を育てる
参画意識の低さは喫緊の課題です。子どもたちがやらされている活動にならないように、「こういう学級活動をしたい」「こういう学校にしたい」「こういう社会をつくりたい」という思いを持てるように指導していくことです。
○自己実現…なりたい自分に向けて頑張る力を育てる
自己実現は自分らしい生き方の実現ということです。なりたい自分に向けて努力ができる力を育てることです。
これらの力を育むために学級活動では、話合いを基盤にしながら課題解決をするために必要な力を身に付けるものです。
○学級活動(1)…児童生徒が問題を発見し、「共同の問題」(議題)を選定する。解決方法等について話し合い、折り合いをつけて、集団として「合意形成」を図る。
○学級活動(2)(3)…教師が「共通の問題」(題材)として課題を設定する。教師の指導のもと、解決方法について話合いを通して考え、自己の課題や努力目標を一人一人が「意思決定」する。
よりよい合意形成のためには、
「安易な多数決で結論を出さない」「多数意見でまとめていくことが基本だが、少数意見も尊重し、生かす工夫はないか考える」「それぞれの意見を比べ合いながら、折り合いをつけて合意形成を図る」といったことが大切です。
また、身に付けた力が各教科等にも生かされると双方向の学び合いができるようになります。そのために教師が教科と特別活動の往還をより意識しながら、学習過程の中でよりよい人間関係を築き、学び方を身に付けていくことが重要です。
子どもたちが集団や社会の形成者として自主的・実践的に取り組み、多様な他者と協働するさまざまな集団活動の意義を実感させながら、みんなで考えて、みんなで話し合って、みんなで決めたことを、みんなで行うことができる力を育んでいく必要があります。
学校は子どもにとって一番身近な社会です。そして、よりよく生きることを学ぶ場所でもあります。「自分のよさ」を集団の中で見いだしながら、自己有用感をもって生き生きと活動する子どもたちを育てていきたいものです。