鳥取の酒蔵では、いいお酒をよく磨き、香りの高いお酒に仕上げる精米歩合60%以下の「吟醸造り」に積極的に取り組む一方、純米酒の製造比率が高く、米の味を生かした燗上がりするタイプが豊富であったり、生酛造りに取り組んだりしているのも特徴です。数年熟成してから出荷する蔵も珍しくなく、新酒とはまた違った奥深く丸い味わいの古酒を楽しむことができます。
鳥取の日本酒のレベルを引き上げた立役者として知られる、鳥取出身の酒造技術指導者、故・上原浩氏は、純米酒の復活に尽力しました。上原氏は、日本酒の衰退の流れを変えるために、当時業界を席巻していた「淡麗辛口」の日本酒ではなく「芳醇旨口」の純米酒をつくることを呼びかけ、また、香りを重視した「香り吟醸」でなく、お燗に耐えられる「味吟醸」をつくるよう提唱し、数々の酒造会社とともに取り組みました。そのような先人たちの努力によって受け継がれている酒造技術とチャレンジ精神は、まさに鳥取の伝統と呼ぶにふさわしい文化です。
※精米歩合 精米の程度を表す数字。精米歩合60%なら、米の表面を40%削ったことを示す。
※純米酒:原料は米と米麹のみ。米の味が生かされ濃厚でコクのある味わい。
※純米吟醸酒:精米歩合60%以下。原料は米と米麹のみ。低温発酵の吟醸造りで仕上がりはまろやか。
※純米大吟醸酒:精米歩合50%以下。原料は米と米麹のみ。低温の吟醸造りで吟醸酒よりもさらに香り高くやさしい飲み口。
※生酛造り 自然由来の乳酸菌で有害菌を抑えて酵母を増やす、伝統的なモト(酒母)の造り方。
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