労使ネットとっとり(鳥取県労働委員会 個別労使紛争解決支援センター)で扱っている、個別労働関係紛争あっせんにより解決した事例を紹介しています。
なお、事例の内容につきましては、紛争当事者等が特定されないよう、若干の変更を加えてある場合があります。
≪事例1―正社員の解雇≫
トラブルの発生 |
Aさんは、ある日突然、勤務先のX社の社長から「君の同僚のYさんが一緒に働きたくないと言っている。明日から来なくていい。解雇する」と告げられました。Aさんは「会社には愛着があります。辞めたくないです。それに、職場の雰囲気を悪くしているのはYさんの方に原因があります」と答えました。
しかし、社長は「君は、Yさんがうそをついている、つまり、わたしに人を見る目がないと言うのか。これ以上わたしを侮辱するのなら、ひと思いに懲戒解雇にするぞ」と聞き入れてくれませんでした。
その後、Aさんは、解雇の撤回を求めて、X社に何度か話合いを求めましたが、相手にされません。
そこで、Aさんは、(1)解雇の撤回又は(2)補償金の支払いを求めて、『労使ネットとっとり』にあっせんを申請しました。 |
あっせんの経過 |
あっせん員の説得に応じて、社長はあっせんに参加することになりました。
あっせん員は、法律や判例に照らして、今回のようなあいまいな理由では解雇がなかなか認められないことを説明し、復職の可能性を探りました。しかし、社長は「Yさんを信じている。支払うべきものを支払っていないのなら支払うが、Aさんの復職に応じるつもりはない」と答えました。
あっせん員は、解雇の理由には無理があるとしても、職場ぐるみでトラブルがあったことから復職が現実的には難しいと判断しました。そこで、Aさんにこれらのことについて説明するとともに、当事者双方に歩み寄りを勧めていくことにしました。 |
事件の解決 |
調整の結果、Aさんは会社都合による「合意解約」を受け入れることにしました。その代わり、X社も今回の対応が不誠実だったことを認め、解決金を退職金に上乗せすることとして、あっせん案がまとまりました。
AさんとX社は、このあっせん案を受け入れ、事件は解決しました。 |