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あっせんによる解決事例

 労使ネットとっとり(鳥取県労働委員会 個別労使紛争解決支援センター)で扱っている、個別労働関係紛争あっせんにより解決した事例を紹介しています。

 なお、事例の内容につきましては、紛争当事者等が特定されないよう、若干の変更を加えてある場合があります。

≪事例3―退職金の未払≫

 
トラブルの発生

トラブルの発生イラスト

 

 Cさんは、家庭の事情もあって、約25年間勤めたX社を自己都合退職しました。
 Cさんは数年前にも退職願を提出し、そのときは、X社のZ部長から「いずれは退職金も出るのだから」と慰留され、辞意を撤回したということがありました。
 そこで、Cさんは、今回の退職に際し、退職金を請求しましたが、X社は「前例がない」と応じません。Cさんが「Z部長は退職金が出ると言っていました」と抗議すると、X社は「会社に退職金制度はない。就業規則の中にも退職金の規定はない」と答えて、Cさんの要求を聞き入れませんでした。
 そこで、Cさんは退職金の支払を求めて、『労使ネットとっとり』にあっせんを申請しました。

 

 

あっせんの経過

あっせんの経過イラスト

 

 あっせんに参加したX社は、「Cさんに退職金の期待を持たせたのは、Z部長の個人的な失態であり、会社の立場とは関わりがない。ただし、Cさんに迷惑をかけたのは事実なので、Z部長が個人的に解決金を支払うことにしたい」と提案しました。
 X社の提案を聞いたCさんは、「Z部長の独断で済まされるのか。会社としての誠意がほしい」と答えました。
 Cさんの回答を受けて、X社は「退職金を一人に支払えば、全員に支払わないといけなくなる。会社には蓄えがない。のちのち困る」とX社の立場への理解を求めました。
 そこで、あっせん員は当事者双方の意向を踏まえながら、歩み寄りを勧めることにしました。

 

 

事件の解決

事件の解決イラスト

 

 調整の結果、CさんはX社の立場に理解を示して退職金の名目にはこだわらず、その代わり、X社も道義的責任を認めて解決金を一部上乗せ負担することとして、あっせん案がまとまりました。
 Cさん、X社及びZ部長は、このあっせん案を受け入れ、事件は解決しました。
  

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