労使ネットとっとり(鳥取県労働委員会 個別労使紛争解決支援センター)で扱っている、個別労働関係紛争あっせんにより解決した事例を紹介しています。
なお、事例の内容につきましては、紛争当事者等が特定されないよう、若干の変更を加えてある場合があります。
≪事例4―配置転換≫
トラブルの発生 |
DさんはX社から引っ越しを伴う転勤を命じられました。Dさんは今の会社に約20年間勤めていますが、引っ越しを伴うような転勤はこれまで経験がありません。また、Dさんには、介護を必要とする家族と同居しているという事情もありました。
Dさんは家庭の事情を会社に伝えましたが、X社は聞き入れてくれません。
そこで、Dさんは転勤命令の撤回を求めて、『労使ネットとっとり』にあっせんを申請しました。 |
あっせんの経過 |
あっせんに参加したX社は、「Dさんは家族を介護していることを会社に届け出ていない。身軽な独り暮らしだと思っていた。突然知らされても困る」とDさんの言い分を聞き入れなかった理由を説明しました。その上で、「適正な人員配置ができず現場は困っている。転勤に応じてほしい」とX社の立場への理解を求めました。
あっせん員がDさんに確認してみると、X社はDさんの扶養や介護について当然知っているはずだと思い違いしていたことが判明しました。そして、Dさんはあらためて、家族が引っ越しに耐えられないこと、かといって独り残すわけにもいかないことを説明しました。
そこで、あっせん員はお互いのコミュニケーション不足がトラブルの原因だと考え、このことを念頭に置きつつ、当事者双方に歩み寄りを勧めていくことにしました。 |
事件の解決 |
調整の結果、Dさんは引っ越しを伴う転勤命令を受け入れました。その代わり、X社もDさんの家庭の事情に配慮し、Dさんが家族を介護できるよう真摯に対応していくこととして、あっせん案がまとまりました。
DさんとX社はこのあっせん案を受け入れ、事件は解決しました。 |