鳥取県東部にある高度急性期医療機関の診療科として、感染症の課題、および臓器別専門領域への分類が困難な内科的課題に取り組むことで社会に貢献します。


感染症内科

 感染症は、病原体が人体に悪い影響を与えることで発症する病気です。これら病原体にはウイルス・細菌・真菌・寄生虫に分類される多様な生物が含まれます。また、病原体は一つの臓器・生体システムだけに影響することもあれば、複数の臓器・生体システムに影響することもあります。インフルエンザ・溶連菌性扁桃炎のようなよくある感染症もあれば、クリプトコックス症・肝蛭症のようなあまり出会わない感染症もあります。新型コロナウイルス感染症のような世界中に広まっている感染症もあれば、マラリアのようなふだん国内に発生しない輸入感染症もあります。このように生物種・影響される生体システム・頻度などを軸として縦横に広範な広がりをもつのが感染症の特徴です。

 感染症診療を難しくする要素に、その見えにくさがあります。病原体は肉眼的に見えないものがほとんどです。さらに、頭痛と筋肉痛と黄疸があると問題をひとつの臓器に絞ることができません。患者さんが発症した時点では相手の病原体はわかっておらず、ましてやその体調不良が感染症によるものかどうかもわかりません。このような見えにくさ・問題の焦点の定めにくさ・他との区別のしにくさが感染症診療を難しくする要素になります。

 感染症内科の専門性は、感染症についての広範な知識と、一見わかりにくい問題を洞察し解き明かす力にあります。もしかすると専門家でも一生出会わないかもしれない感染症も含めて広範な知識を備え、よくある感染症においても患者さんにおきる問題点への洞察を突き詰めようとします。日常的なその姿勢が、あまり出会わない感染症に遭遇したとき、より複雑な感染症に遭遇したときに患者さんの診療に資すると信じています。なぜならそのような感染症にかかった患者さんを適切に診断・治療が提供できるのは、我々しかいないかもしれないからです。


総合内科

 総合内科は、特定の臓器別専門性をもつ領域ではありません。臓器別専門領域が明らか、かつ単一の問題(病気・ケガ)に対しては、該当する専門診療科が対応にあたるのが患者さんにとって最適でしょう。しかしながら一方で、原因や臓器を特定できない、あるいは診断に悩む病態は常に存在し、現在の高齢化社会では全身の多臓器に問題を持つ患者は決して少数ではありません。さらに、患者さんの抱える問題は生物学的(身体の)側面のみとは限らず、社会的・心理的な課題が複合している場合もあります。このように単一専門領域の枠に当てはまりにくい問題に対応するのが、当院における総合内科の役割と認識しています。

 総合内科的問題は、それに対応するための道すじ・課題が見えにくいことがあります。原因が特定できていない病態では当然ですが、複数の病態が併存している場合や、生物学的問題の背景に社会的背景が密接に関連している場合などは、一見すると何からどう対応を始めるべきか分かりにくいことがあります。

 総合内科の専門性は、このような"わかりにくい”問題に対して、医院・クリニックや当院以外の病院との連携からなる内科系診療のネットワークの共通基盤として、一般・総合内科の知識・技術・判断力・人間性を発揮して診療にあたる点にあります。専門科に受診しにくい状況で患者さんが行き場を失わないようにすること、問題が明らかになってきた場合により良い診療やケアにスムーズに繋げること、これを円滑に行うことが当院における総合内科の専門性と使命であると認識しています。


感染症と総合が結合した内科として

 当科は2024年4月から感染症・総合内科という新しい診療科として、これまでの「総合内科」の診療をある程度引き継ぐ形でスタートいたしました。感染症を専門領域に持つ医師が赴任したことが契機ではありますが、先に述べてきた感染症内科の特徴と総合内科の特徴には共通項が見出され、一つの科として診療にあたる意義があります。つまり、感染症内科も総合内科も患者さんの“見えにくい”または"わかりにくい”問題を扱う領域といえます。患者さんの問題を抽出し、整理し、解決するための課題を"見える化”することに診療の重点があります。“見えにくい”または"わかりにくい”問題を抱える患者さんが診療の入り口に立つ共通基盤となろうと考えています。


当科の診療理念

感染症の課題、および臓器別専門領域への分類が困難な内科的課題に取り組むことで社会に貢献します。


基本方針

診療

感染症領域における専門的な知識・経験を発揮して診療します。 既存専門領域への分類が困難な内科的課題、複数要素が絡み合った課題に取り組み、整理し、そして解決することを目指します。


教育

患者背景・臨床診断・微生物診断を判断し治療に至るという、感染症診療の基本を習得できるよう、後進の教育に臨みます。
複合的な問題を分類、整理整頓、そして統合する思考・行動を習得できるよう、後進の教育に臨みます。


地域貢献

専門的な感染症診療提供のための他機関との連携、また圏域住民の感染症予防のための知識やワクチン普及に貢献します。
複合的な問題、心理社会的側面の大きい問題を扱う高度急性期病院の内科診療科として患者さんを受け入れ、また他機関との連携し、急性期以降の医療や生活復帰に貢献します。


診療内容

一般外来診療
入院診療
院内他科からの感染症コンサルテーション


メッセージ

感染症も総合内科も、いわゆる派手さや特別な機器を用いた診療はありませんが、常に新しい知識を更新し、丁寧な診療をすることを心がけていきます。


椋田 権吾

(医長)2011年卒
専門分野 感染症診療、感染対策、総合内科診療
所属学会
資格
  • 日本感染症学会 感染症専門医
  • ICD制度協議会
    インフェクションコントロールドクター
  • 日本内科学会 認定内科医、総合内科専門医、指導医
  • 日本病院総合診療医学会 認定病院総合診療医
  • 総合診療研修 特任指導医
  • 日本環境感染学会
  • 日本臨床微生物学会
  • 日本渡航医学会
  • 日本化学療法学会
  • 日本エイズ学会
  • Infectious Diseases Society of America(IDSA)

辻󠄀内  邦顕

(医師)2022年卒
専門分野 内科一般
所属学会
資格
  • 日本内科学会

山本 直希

(医師)
専門分野
所属学会
資格

 海外渡航をより安全なものにしませんか?渡航先によって日本には存在しない、または頻度の少ない感染症があります。そしてその中には、予防接種(ワクチン)で防ぐことのできるものがあります。また、ワクチン以外にも健康問題を防ぐためにできることもあります。リスクを減らして安全な渡航ができるよう、予防策を講じることをお勧めいたします。その予防策を講じるための相談場所が渡航ワクチン外来です。


診療内容

ワクチン:
狂犬病・A型肝炎・B型肝炎・破傷風・日本脳炎・髄膜炎菌
麻疹/風疹など(リストは下記)

マラリア予防(準備中)
時差ボケ、エコノミークラス症候群、特殊環境において発生する疾患への予防など


診療体制

診療日:毎週火曜日 午後1時〜3時

完全予約制。担当医の状況により診療が難しい場合がありますので、受診前に必ず予約をとってください。
上記曜日・時間帯の受診が難しい場合、他のタイミングで対応可能な場合もありますので、ご相談ください。


渡航ワクチン外来を受診される方へ


受診までの流れ

1.受診予約の取得

  • 病院代表番号(0857-26-2271)から患者支援センターにお電話ください。事務員が問診票に沿って必要事項をおうかがいします。
  • 担当医が内容を確認した後、記入された情報から事前に患者IDを作成させていただきます(当院を受診歴のある方は、そちらのIDを使用いたします)。
  • 後日、担当医より電話で連絡させていただき、受診予約の取得・概算費用をお伝えします。

2.受診当日

  • 渡航内容の確認をし、同意書にサインいただいた後に、ワクチン接種をします。
  • 次回の予約を確認した後に、会計を行い帰宅となります。

受診当日に持参いただくもの

  • 母子健康手帳(これまでのワクチン接種歴を正確に把握するため)
  • 予防接種手帳(母子手帳以外にワクチン接種歴が分かるものがあればご持参ください)
  • パスポート(氏名のローマ字表記を確認するために初回のみ持参)
  • 健康保険証

備考


注意事項

  • 渡航ワクチン接種は自費診療となります。
  • 渡航ワクチン接種のために受診した際には、予防接種を受けなかったとしても相談料(下記)が発生します。あらかじめご了承ください。
  • 当外来では国内承認ワクチンのみを扱います。輸入(国内未承認)ワクチン接種をご希望の場合は、他院をご紹介することになります。ご了承ください。
  • 複数回の接種が必要なワクチンが多く、ワクチン接種による予防効果が発現するまでに約2~4週間程度必要とされます。旅行スケジュールを考慮し、理想的には渡航6ヶ月程前からの外来受診をお勧めします。

費用

相談料:4,730円

ワクチン接種証明書料:2,090円

ワクチン接種料金表 (pdf:193KB)PDF


ワクチン接種に伴う副反応が出現した場合

国内承認ワクチンについては、予防接種健康被害救済制度が適応される可能性があります。
詳しくは、厚生労働省ホームぺージ 予防接種健康被害救済制度について(外部リンク)をご参照ください。


渡航後に発熱・体調不良がある場合

保険診療において感染症・総合内科の外来担当医師が対応いたします。



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