鳥取県中~東部、兵庫県西部地域の歯科医療の
最後の砦として最適な治療を提案します

歯科口腔外科の特色

 歯科口腔外科は、歯、舌、口蓋、頬粘膜、顎骨、顎関節、唾液腺などの顎口腔領域の機能および形態に対する治療を目的とした診療科です。対象疾患は智歯(親知らず)や嚢胞、良性および悪性腫瘍、骨折などの外傷、顎炎などの感染症、顎関節疾患、粘膜疾患、先天奇形、唾液腺疾患など様々です。
 当科は一般的な口腔外科の治療のみならず特に口腔悪性腫瘍に対しては、鳥取県中部、東部~但馬西部地域のがん拠点病院としての責務を果たすべく、積極的にがん診療に取り組んでいます。
 外来では現在歯科医師2名、非常勤歯科医師1名、歯科衛生士4名、看護師2名、医療助手1名で局所麻酔による小手術を中心に行っており、全身麻酔下の手術や全身管理の必要な場合には入院下で治療を行っています。
 困難な治療の場合は高度専門機関の鳥取大学病院歯科口腔外科と連携して治療を行っております。

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医療機関の認定

  • 地域がん診療連携拠点病院
  • 日本がん治療認定医機構認定研修施設
  • 日本口腔外科学会専門医認定制度専門医・指導医研修施設
  • 地域歯科診療支援病院

診療内容

  1. 口腔がんの治療・・・舌がんを中心に上顎がん、下顎がん、口底、頬粘膜がん、口蓋がん、口唇がん等に対応しています。他科と連携をしながら手術療法を主として小さな再建であればオトガイ下皮弁や頸部島状皮弁などの局所有茎皮弁再建を自科で行い、大きな再建は形成外科により血管吻合による遊離皮弁再建等を行っています。術後は必要に応じて放射線治療や化学療法等を行います。

  2. 顎変形症の治療・・・保険顎矯正治療が可能な矯正歯科医院と連携し、手術は下顎枝矢状分割術、下顎枝垂直骨切り術、上顎骨骨切り術等の顎変形症手術を行っています。
    (保険治療による顎矯正の連携希望の矯正歯科医院があればご連絡下さい)

  3. 顎顔面インプラント・・・歯科インプラントは歯牙欠損に対し人工歯根の顎骨内埋入による咬合再建を行い、難症例には上顎洞挙上術(サイナスリフト)や骨移植を行います。基本的にすべて自費診療となります。例外として口腔がんや骨髄炎、先天性疾患により顎骨が1/3以上欠損している場合、保険適応となります。

  4. 顔面骨折、外傷・・・交通事故などによる顎顔面の骨折や損傷に対し咬合、咀嚼機能および審美性の回復を行います。上下顎骨骨折を中心に、顎関節突起骨折や頬骨骨折等に対応しています。

  5. 口腔顎顔面の歯性感染症・・・歯が痛くて顔面が腫れてきて口が開かない、熱が出る、痛みが改善しない等、口腔顎顔面領域の感染症による膿瘍、蜂窩織炎などの治療を行います。

  6. 難抜歯、親知らず(智歯)抜歯・・・ケースによって難易度が異なりますので当日抜歯できない場合があります。また無痛治療を希望されたり、治療期間の短縮や術中の不安軽減を望まれたりする患者さんに対し、静脈内鎮静法を用いた入院抜歯(1泊2日)や全身麻酔下で行っています。

  7. 薬剤関連顎骨壊死・・・ 骨粗しょう症やがんの骨転移に用いられるビスフォスフォネート系製剤や骨吸収抑制剤、がん細胞の増殖を抑える血管新生阻害薬が原因で、顎骨壊死を引き起こすことがあり、治療を行います。

  8. 有病者歯科診療・・・一般的に健康な方の歯科治療に関してはかかりつけ開業医の先生方にお願いをしております。歯科疾患治療が困難な有病者、障害者や認知疾患者に対して必要に応じて静脈内鎮静法や全身麻酔下での歯科治療を行います。

  9. 顎関節疾患患者・・・薬物療法や運動、理学療法、スプリント療法、顎関節洗浄を行い、顎関節脱臼に対する治療や腫瘍性病変が原因の場合は顎関節腫瘍の手術も行っております。

  10. 周術期口腔ケア・・・周術期口腔ケアとは、がん等に対する全身麻酔下での手術前後の患者さん、放射線治療や化学療法(抗がん剤治療)中の患者さんに対して、円滑に治療が進むように口腔内のトラブルを防ぐために口腔管理を行います。その結果、術後の発熱や重症合併症が減少するなど、早期の社会復帰に繋がることが報告されております。
    当科でも歯科医師、歯科衛生士により他科と連携し周術期口腔管理を行っております。

~口腔がんについて~

 口腔がんは全がんの約1%、高齢化社会に伴い、口腔がんの罹患数は増加しており、年間約8000人が口腔がんに罹患しています。発生頻度は、舌 > 歯肉 > 口底 > 頬粘膜 > 口蓋で、中でも舌がんが60%と多くみられます。
 口腔・咽頭がんは2013年の国立がんセンターの統計で死因が10位で、死亡率46.1%ですが、早期発見、早期治療を行うことにより5年生存率が70~90%と高くなります。治療施設にもよりますが、病期別の5年生存率は、1.期で90%、2.期で70%、3.期で60%、4.期で40%といわれています。そのため早期発見、早期治療が必要です。
 口腔がんの治療法は手術、放射線治療、化学療法の組み合わせで行われますが、可能ならば手術が一番望ましい治療法です。小さながんであれば切除のみですが大きながんの場合は舌や顎を切除し、再建が必要となります。

 口腔がんは口腔内の舌や頬粘膜や歯肉に最初は口内炎のような症状を認め、痛みもないことが多いです。なかなか治らない口内炎や、じくじくして出血する、硬いようなしこりがある、白色や赤色を認めるなど少しでも異常を感じたら医療機関に相談ください。口腔がんは早期に発見、早期治療を行えば治る疾患です。

診療実績

初診患者数および院外紹介患者数

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入院手術件数

入院手術 2017 2018 2019 2020
外来全身麻酔 24 11 14 4
歯根端切除術     3  
歯根嚢胞摘出術     1 1
顎骨内異物除去術     1  
リンパ節摘出術     1  
頬粘膜腫瘍摘出術 1 1 1  
口底腫瘍切除術 1     1
上顎洞根治手術 3      
術後性上顎嚢胞摘出術   2 1 2
埋伏歯抜歯術 21 18 32 38
抜歯術(乳歯、前歯、臼歯)     9 19
口唇腫瘍切除術   1   1
口蓋腫瘍切除術 3 2    
舌腫瘍切除術 3 2 3 2
頬粘膜腫瘍摘出術       2
頬・口唇・舌小帯形成術 4 7 5 1
下顎骨観血的整復固定術 3 2 3 2
下顎骨非観血的整復固定術        
上顎骨観血的整復固定術 3 1    
顎関節脱臼非観血的整復術     1  
歯槽骨骨折観血的整復術     1  
除去・骨固定金属板除去 3   4 4
唾石摘出術(深在性のもの+腺体内) 4 2 2 1
顎骨腫瘍摘出術 3 16 24 26
口腔内消炎術 1 2    
上顎洞口腔痩閉鎖術        
顎堤形成術3   1 3 3
歯肉、歯槽部腫瘍手術2硬組織        
萌出困難歯開窓術   1    
耳下腺腫瘍摘出術1.耳下腺浅葉        
舌繁瘢痕性短縮矯正術 1     1
骨移植術1.自家骨移植        
顎・口蓋裂形成手術(片側・顎裂)        
頬骨骨折観血的整復術        
下顎関節突起骨折観血的手術1.片側   1   3
顎関節形成術 1      
顎関節授動術1徒手的(バンピング併用       2
顎関節脱臼観血的手術       1
顔面多発骨折観血的手術 1 1    
創傷処理2(5~10cm、深) 1      
浮動歯肉切除術3(全顎)        
歯肉、歯槽部腫瘍手術1軟組織 1 1 1  
がま腫摘出術        
顎骨嚢胞開窓術       2
腐骨除去手術(顎骨1/3以上) 3 2   3
口腔外消炎術 2   1  
下顎骨形成術2短縮または伸長の場合 2 1   1
下顎骨形成術3再建の場合 1      
下顎骨形成術4骨移動を伴う場合     1  
上顎骨形成術   1    
扁桃周囲膿瘍切開術 1      
皮弁作成術 1 1 2  
動脈(皮)弁術       1
皮弁離断術 1      
分層植皮術2(25~100㎠)       1
頬腫瘍摘出術 3   2  
顎関節開放受動術 1      
顎下腺腫瘍摘出術 1      
歯牙再植術     1  
広範囲顎骨支持埋入術     2 1
下顎隆起形成術     4  
口腔前庭拡張術     1  
歯槽骨整形手術・骨瘤除去術     2 1
歯科インプラント摘出術(人工歯根)       1
上顎結節形成術(簡単なもの)       3
その他 3 5    
小計 101 82 126 128
(悪性腫瘍)
舌悪性腫瘍手術1.切除 4 5 5 8
舌悪性腫瘍手術 亜全摘 1 1 1  
下顎骨悪性腫瘍手術1.切除   3 1 3
下顎骨悪性腫瘍手術2.切除   1    
上顎骨悪性腫瘍手術2.切除 1 3   1
頸部郭清術 4 4 4 5
口蓋悪性腫瘍切除術   2   1
口底悪性腫瘍切除術 2 1 1 1
口腔、顎、顔面悪性腫瘍切除術       1
頬粘膜悪性腫瘍切除術 1 1    
口唇悪性腫瘍切除術 1   1  
小計 14 21 13 20
合計 115 103 139 148

メッセージ

患者さんへ

  • 初診時紹介状をお持ちでない場合、非紹介加算3,300円が加算されます。
  • 受診時に必ずお薬手帳をお持ちください。
  • 基本的にう蝕などの一般歯科治療は当院に長期入院中の急性症状のある方、全身疾患により治療が難しく、かかりつけ歯科または医科の先生から紹介された方のみを対象としています。それ以外の場合は、地域の連携歯科医院をご紹介させていただいております。
  • 外来での手術に対し恐怖心が強い方は静脈内鎮静法を用いて治療を行っています。担当医へご相談ください。
  • 口腔がんは口腔内の舌や頬粘膜や歯肉に最初は口内炎のような症状を認め、痛みもないことが多いです。なかなか治らない口内炎や、じくじくして出血する、硬いようなしこりがある、白色や赤色を認めるなど少しでも異常を感じたら医療機関に相談ください。口腔がんは早期に発見、早期治療を行えば治る疾患です。

医療機関の先生方へ

 当科の初診患者数は年々増加傾向にあり先生方より年間約1,000人のご紹介をいただき誠にありがとうございます。今後も鳥取県中東部および但馬西部地域の歯科口腔外科の基幹病院として先生方と積極的に地域医療連携を行い、患者さんに満足される高度医療の提供を行ってまいります。
 当日紹介の抜歯に関しては、患者さんの状態、ケースにより可能であればできるだけ行いますが、安全のためにも後日、抜歯となる場合があることをご了承ください。症例でお困りのことがあればお気軽にご相談ください。

木谷 憲典

(きだに かずのり)(部長)
専門分野 口腔がん、顎顔面外傷、顎顔面インプラント、顎変形症、口腔外科全般
資格
  • 日本口腔外科学会 専門医・指導医・代議員
  • 日本がん治療学会 認定医(歯科口腔外科)・指導責任者
  • 医学博士
  • 日本口腔ケア学会 評議員
  • 臨床研修歯科指導医

大淵 幸与

(おおぶち さちよ)(医長)
専門分野 口腔外科全般、周術期口腔ケア
資格
  • 日本口腔外科学会 認定医
  • 臨床研修歯科指導医
  • 医学博士

八尾 知亜紀

(医師)
専門分野
所属学会
資格

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