地域の中核病院として幅広い分野の診療、
特に周産期医療と小児救急に日夜努力しています。
充実した周産期(新生児)医療
診療圏唯一の地域周産期母子医療センターとして、早産児や先天異常児などのハイリスク新生児の治療やケアを行っております。
現在NICU(新生児特定集中治療室)9床、GCU(新生児治療回復室)12床を有し、年間350人(2022年1~12月)の入院を受け入れております。周産期(新生児)専門医・指導医2名を含む小児科医師9名と、小児外科医1名、新生児集中ケア認定看護師2名を含む看護師32名、臨床心理士1名、病棟保育士1名で協同して24時間365日、安心・安全な医療・ケアを提供しています。
総合周産期母子医療センターである鳥取大学附属病院だけでなく、地域の病院やクリニックとも連携を取り、地域の全ての新生児が、将来より健康に過ごせるようにお手伝いさせていただきたく日夜努力しております。
*出生する児の在胎週数などによってはお受けすることができない場合があります。
図1:NICU(新生児特定集中治療室)
図2:GCU
小児救急
当院では診療圏内の小児救急を担っており、地域の病院やクリニックや東部急患診療所などの一次医療機関からの紹介を受け、緊急処置や入院加療などを行っております。
気管支炎、肺炎、気管支喘息、痙攣、川崎病をはじめほぼ全ての小児科疾患に対応しています。
図3:小児科病棟
24時間365日小児救急医療に対応できる体制を整備しており、1262件(2022年1~12月)の紹介小児患者を受け入れており、関係各科と連携しながら診療を行っております。
入院された児においては、状態の悪化を速やかに判断するためのPEWSスコア(小児早期警告システム)を導入し、的確な対処が迅速に行われるように工夫しています。
在宅医療
医療の進歩に応じて、全国的にも在宅で医療的ケアを受けるお子様が増えております。当院でも訪問看護ステーションや鳥取療育園などと連携しながら、在宅人工呼吸器管理、在宅経管栄養管理、在宅酸素療法、在宅自己注射などの在宅医療の管理も担っており、現在142名(2022年末時点)の患者さんのお手伝いをさせていただいております。
アレルギー疾患の管理・治療
近年増加する食物アレルギーをはじめとした小児期のアレルギー疾患に対応すべく、それらの管理・治療にも力を入れ始めております。
食物アレルギー経口負荷試験は、全例入院にて各種モニタリングを行いながら、症状出現時には迅速に対応できる万全の体制をとって行っております。年間48例(2022年1~12月)の実績があります。
過去にアレルギー症状の既往のある方で原因食物の除去解除の目安を決めたい、初めて摂取する食物に不安がある、アレルギー症状を引き起こす原因食物の特定を行うなど様々な目的で検査を行っております。ご希望される方は紹介状ないし、今までの経緯をまとめていただき、是非外来にてご相談いただければと思います。
また、小児においても急増しているスギ花粉症、ダニによるアレルギー性鼻炎の治療のための舌下免疫療法も開始しております。
診療内容(各種専門外来紹介)
いずれも予約が必要となります。
<神経外来>
てんかん、神経筋疾患、染色体異常症、重症心身障害など
担当: 戸川雅美(火曜日・木曜日)、前垣義弘(非常勤:第4月曜日)
<腎臓外来>
ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、膀胱尿管逆流、学校検尿の精査など
担当: 宇山祥(月曜日)、宇都宮靖(月曜日・水曜日)
<心臓外来>
先天性心疾患、川崎病後のフォロー、心電図異常・不整脈・心雑音の精査など(水曜日)
学校心臓検診で精密検査が必要と言われた方(月曜日AM・金曜日AM)
担当: 田村明子、倉信裕樹
<早産児フォローアップ外来>
NICU退院後のフォローアップ、重症心身障害など
主な担当: 田村明子(木曜日・第1、第3金曜日PM)、堂本友恒(火曜日、水曜日PM)、萩元慎二(水曜日)
<発達外来>
発達障害、発達遅滞など
担当: 前岡幸憲(非常勤:第3木曜日PM)
診療実績(入院)
入院数(2022年1月1日~12月31日)
新生児病棟 |
超低出生体重児 |
6例 |
350例 |
極低出生体重児 |
10例 |
低出生体重児 |
101例 |
人工呼吸器(重複あり) |
35例 |
その他 |
198例 |
小児科病棟 |
呼吸器感染症 |
185例 |
722例 |
消化器感染症 |
36例 |
腎・尿路系感染症 |
48例 |
中枢神経感染症 |
2例 |
菌血症 |
3例 |
その他の感染症 |
15例 |
気管支喘息発作 |
58例 |
食物アレルギー・アナフィラキシー |
59例 |
川崎病 |
22例 |
熱性けいれん・てんかん |
56例 |
急性脳症 |
0例 |
神経筋疾患(疑い含む) |
23例 |
ケトン性低血糖 |
3例 |
IgA血管炎 |
2例 |
糸球体腎炎・ネフローゼ症候群 |
6例 |
低身長 |
9例 |
乳児血管腫 |
14例 |
循環器疾患 |
8例 |
血液・腫瘍疾患(疑い含む) |
21例 |
その他 |
152例 |
総計 |
1,072例 |
表1.入院患者の内訳
メッセージ
当院小児科では、鳥取県中部や兵庫県北部の一部の地域を含む鳥取県東部という比較的広域な診療圏内の小児、新生児の健康と命を守るために日々努力しております。
日本小児科学会専門医が7名在籍しており、サブスペシャリティーとしての日本周産期・新生児学会 周産期(新生児)専門医2名、日本小児神経学会 小児神経専門医1名、日本小児循環器学会 小児循環器専門医1名、日本腎臓学会 腎臓専門医1名、を中心とした医師が互いに連携して治療方針を決定しております。
また当院は日本小児科学会 専門医研修関連施設、日本周産期・新生児学会専門医制度 新生児認定施設(指定施設)、日本小児循環器学会 修練施設群、日本小児神経学会 小児神経専門医研修認定施設(関連施設)、日本腎臓病学会 腎臓専門医認定教育施設にも認定されており、小児科指導医4名、臨床研修指導医6名、日本周産期・新生児学会 周産期(新生児)指導医2名を中心とした医師が、次世代の鳥取県の小児医療を担う若手医師の育成にも力を注いでおります。
ただ、小児血液腫瘍、小児アレルギー、小児内分泌、小児リウマチ分野などの専門医は不在のため、これらの診療は鳥取大学医学部附属病院、兵庫県立こども病院などと連携して診療を行っております。疾患の管理に専門性が高い場合などは転院をお願いしており、患者の皆様、ご家族様には大変ご不便をおかけしております。
今後も周産期新生児医療、小児救急及び在宅医療はもとより、新たなる感染症に対する対応、変革するアレルギー疾患の管理・治療法(経口食物負荷試験、舌下免疫療法)、新規確立した治療法(乳児血管腫に対するヘマンジオル治療)など最新の医療も提供できるよう精進いたしますので、よろしくお願いします。
図4:小児科医師、臨床心理士