E-2 大内発電所本谷川水路第4号水路橋 智頭町大内
水路橋:鉄筋コンクリート造・2連・無ヒンジアーチ(逆ローゼ)橋
大正12年
大内発電所本谷川水路第4号水路橋は、兵庫県および岡山県との県境にほど近い鳥取県智頭町大内に位置する。
国道373号大内バス停の120~130m南を起点として東方へのびる林道和谷線を300mほど入ったあたりに、林道を跨ぐように横断する幅2mに満たない程度のアーチ橋である。
橋の左右にそりたつ山腹は、手入れの行き届いた杉などの人工林が規則正しく立ち並んでおり、その鮮やかな緑を背に白亜のアーチがかかる姿はなかなか見栄えのするものである。
この水路橋は、中国電力(株)の前身である山陽水力電気(株)が、兵庫県の工場に電力を供給する目的で建設した河合発電所(現 大内発電所)へ、発電用水を供給するため建設された。本谷川取水口と発電所をつなぐ約3kmの水路に交差する谷(和谷と呼ばれる)を渡すことを目的としたものである。構造は鉄筋コンクリート造・2連・無ヒンジアーチ形式で大正12年本館と同時に竣工したとされている。
その規模は、長さ39.45m、幅1.35m、高さ7.3mで、等間隔にたつ3本の橋脚の間から円弧状のアーチがおき、その頂部は床版に接する。また、1組2本の柱が計11組、アーチから垂直に立ち上がり、床版を支えている。そのモダンなデザインと塗装による補修がなされた外観からは、これが大正時代の建造物であることなど想像すらつかない。
この形式のアーチ橋では、若桜町の「若桜橋」や伯耆町(旧溝口町)の「登山橋」などが類例としてあげられるが、水路橋としては県内でほかに例がなく、それら2橋より10年以上歴史が古いことからも貴重な土木遺産といえる。