フラビウイルス科に属するデングウイルス感染症である。
2~14日(多くは3~7日)の潜伏期の後に突然の高熱で発症する。頭痛、眼窩痛、顔面紅潮、結膜充血を伴う。発熱は2~7日間持続する(二峰性であることが多い)。初期症状に続いて全身の筋肉痛、骨関節痛、全身倦怠感を呈する。発症後3~4日後胸部、体幹からはじまる発疹が出現し、四肢、顔面へ広がる。症状は1週間程度で回復する。
血液所見では高度の白血球減少、血小板減少がみられる。出血やショック症状を伴う重症型としてデング出血熱(※)があり、全身管理が必要となることもある。ヒトからヒトへの直接感染はないが、熱帯・亜熱帯(特にアジア、オセアニア、中南米)に広く分布する。海外で感染した人が国内で発症することがある。
(※)デング出血熱:デング熱とほぼ同様に発症経過するが、解熱の時期に血漿漏出や血小板減少による出血傾向に基づく症状が出現し、死に至ることもある。
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からデング熱が疑われ、かつ、エの次に掲げる表の左欄に掲げる検査方法により、デング熱患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
下記の4つの基準を全て満たした場合にはデング出血熱として届け出ること。
項目
|
内容
|
臨床症状
|
2~7日持続する発熱(時に二峰性のパターンをとる)
|
血管透過性の亢進
|
以下の血漿漏出症状のうち1つ以上
・ ヘマトクリットの上昇(補液なしで同性、同年代の者に比べ20%以上の上昇)
・ ショック症状の存在
・ 血清蛋白の低下あるいは、胸水又は腹水の存在
|
血小板の減少
|
100,000/ミリ3以下
|
出血傾向
|
以下の出血傾向のうち1つ以上
・ Tourniquet テスト陽性
・ 点状出血、斑状出血あるいは紫斑
・ 粘膜あるいは消化管出血、あるいは注射部位や他の部位からの出血
・ 血便
|
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、デング熱の無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
ウ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、デング熱が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、デング熱により死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
エ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、デング熱により死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
検査方法
|
検査材料
|
分離・同定による病原体の検出 |
血液 |
PCR法による病原体の遺伝子の検出 |
非構造蛋白抗原(NS1)の検出 |
血液(血清又は全血) |
IgM抗体の検出 (ペア血清による抗体陽転又は抗体価の
有意の上昇)
|
血清 |
中和試験又は赤血球疑集阻止法による抗体の検出
(ペア血清による抗体陽転又は抗体価の有意の上昇)
|